神戸中央福祉会 塩屋さくら苑 様
DRIVEBOSSの導入により
送迎計画の作成時間を約6分の1に低減、
利用者に接する時間の増加も実感
介護関連事業を展開するパナソニック エイジフリーでデイサービス事業を担うライフサポート事業部は、全国に98のケアセンターを保有し(2017年10月現在)、約400台の車両で朝夕、利用者の送迎を行っている。そうしたケアセンターの1つであるパナソニック エイジフリーケアセンター清瀬上清戸では、日々通ってくる多くの利用者に対して、生活リハビリに加えて、食事や入浴介護などのデイサービスを提供している。これまで同ケアセンターでは、毎日の送迎計画の作成業務に多大な手間がかかっており、利用者に応接する時間が割かれてしまうという課題を抱えていた。そこでより効率的な計画作成作業を実現するために導入したのが、パナソニック カーエレクトロニクスの提供する介護事業者向け送迎計画自動作成システム「DRIVEBOSS」だった。
目次
2016年4月に介護関連のグループ企業4社が合併して発足したパナソニック エイジフリーは、在宅および介護施設による介護サービス事業、介護ショップ事業、介護機器・設備事業を展開している。このうち介護サービス事業で、デイサービスを担う介護保険事業所の1つが、パナソニック エイジフリーケアセンター清瀬上清戸だ。
同ケアセンターでは、合計で約120名の利用登録者を抱え、1日最大利用人数は40名、基本的に週6日間の営業で、毎日平均して34~35名の利用者が通ってくる。また車両台数は、車椅子2台が搭載できる定員10名のバンが3台、車椅子1台が搭載できる定員6名の普通車が2台で、毎日4~5台が稼働している。
パナソニック エイジフリー
ケアセンター清瀬上清戸
デイサービス 生活相談員
八重樫湖冬氏
これまで同ケアセンターでは、主に1名の生活相談員が毎日、翌日分の送迎計画を作成していた。従来の課題について、パナソニック エイジフリーケアセンター清瀬上清戸 デイサービス 生活相談員の八重樫湖冬氏は、次のように説明する。
「基本的に送迎計画を作るのは私が主担当ですが、休みなどを取る場合には所長が代行しています。計画を作成できるのは私たち2名だけですね。それで翌日朝夕の送迎計画を前日の午前中に作成しているのですが、今まではその作業に最低でも1時間以上はかかっていました」(八重樫氏)。
さらに同ケアセンターでは、送迎計画を作成した後、午後から別のスタッフが、翌日送迎予定の全利用者宅に電話で迎えに行く時間の連絡を入れるという運用を行っている。送迎計画の作成を午前中に完了させて、午後には電話できる体制を整えておかなければ、1日の業務全体がうまく回らないという実情だった。
電話連絡をした際には、利用者の都合により毎日休みや迎えに行く時間の変更が入るが、その際の計画修正にかかる時間は最大でも10分程度とのことで、送迎計画の変更作業自体は、それほど大きな負荷ではなかったとのことだ。
同ケアセンターでは、利用者の住所や利用状況など各種情報を管理するために介護システムを利用しているが、これまで送迎計画を作成する作業は、この介護システムが搭載している送迎ルート作成機能を使って行っていた。当時の状況について、所長の戸上美乃里氏は、次のように説明する。
「介護システムに保存されている利用者様の情報と送迎計画の作成機能を使って、翌日いらっしゃる利用者様の送迎の順番を考えて並べていき、併せて詳細時間を手作業で入力していました。そうして作成した計画をプリントアウトして、送迎車の運転手さんと同乗する介護スタッフの方にお渡ししていたのです。ただし介護システムの機能では地図までは表示されず、皆さんにお渡しするプリントアウトにも地図は付けていませんでした」(戸上氏)。
パナソニック エイジフリー
ケアセンター清瀬上清戸
所長 戸上美乃里氏
つまり介護システムで送迎計画を作るためには、“利用者全員の自宅の場所が頭の中に入っている”ことが前提になっていたということだ。送迎計画作成の主担当である八重樫氏は、現在の利用登録者約120名に加え、過去の利用者分も含めると合計で約400名分の自宅の場所をほぼ全て記憶しているという。
「むしろ地図を広げてしまうと逆に混乱して、もっと時間がかかってしまうという感じですね。全て記憶で作っているところがありました」(八重樫氏)。
さらに同ケアセンターでは、送迎計画を作成した後、午後から別のスタッフが、翌日送迎予定の全利用者宅に電話で迎えに行く時間の連絡を入れるという運用を行っている。送迎計画の作成を午前中に完了させて、午後には電話できる体制を整えておかなければ、1日の業務全体がうまく回らないという実情だった。
八重樫氏は、現在キャリア5年目で、過去には約2年間、送迎車に同乗して利用者宅を巡回し、また自身がドライバーとして送迎車を運転する機会もあったという。こうした経験があったからこそ、全利用者の自宅の場所を記憶できた。これは利用者宅の知識の無いスタッフが、地図を見ながら送迎計画を作っていたのでは、約1時間では済まないということだ。ちなみに利用者宅の場所を全て覚えているという点については、所長の戸上氏も同様だ。
「さらに介護システムの機能を使った計画作成作業では、記憶している利用者様の自宅の場所を拠り所に、あくまで“自分の感覚”で移動時間を計算をしてルートを作成することになるので、正確な時間の配分が難しかったという点も、大きな悩みどころでした」(八重樫氏)。
パナソニック エイジフリーでは、ケアセンター清瀬上清戸の抱えている課題を他の施設でも感じていることは以前より認識していた。
そこで送迎計画の作成業務を効率化できる新たなソリューションの導入を検討し、パナソニック カーエレクトロニクスの提供する介護事業者向け送迎計画自動作成システム「DRIVEBOSS」を選定した。
DRIVEBOSSは、利用者同士の関係性や車椅子の搭載可否など、利用者と送迎車各々に考慮すべき制約条件までを加味した上で、クリック1つで効率的な送迎計画を自動作成できるクラウドサービスだ。
同社はDRIVEBOSSがAIベースで効率的な送迎計画が作成できること、“お迎え時には薬を受け取る”(※注)など利用者ごとの細かい制約条件を設定できることを高く評価した。
またDRIVEBOSSでは、管理者がオフィスのPCからインターネットと無線を経由して、各車両に搭載した通信型カーナビに利用者宅や送迎ルートの詳細地図を転送することもできる。同社はこのカーナビ連携も、将来実現したい機能として大きな魅力を感じていた。
さらに車両に搭載したカーナビ端末では、危険運転発生時には、その場でドライバーに対して音声による警告を出し、併せて危険運転が発生した旨を、ネット経由で管理者側にメールで連絡する。安全運転の順守にも貢献する機能だ。
同社では2018年6月より、数多くのメリットを享受できるDRIVEBOSSの運用を開始した。
DRIVEBOSSの利用に際しては、介護システムから各利用者の氏名や住所などの基本情報を吸い上げ、DRIVEBOSS上で、利用者ごとに考慮すべき条件を登録していった。
次に実際にDRIVEBOSSを使ってみて感じたメリットとして、八重樫氏は“到着時間の目安までを画面表示してくれる”点を強調する。
「以前は、私たちが自分たちの感覚だけを頼りに送迎ルートを考え、利用者様のご自宅間の移動にかかる時間を配分していたのですが、DRIVEBOSSでは、PC画面の地図上に利用者様のご自宅の場所がピンで示されます。送迎計画を作る際には、マウスの操作でご自宅間を繋いでいけば、各お宅に到着する時間をDRIVEBOSSが自動計算して教えてくれるのです。決められた送迎時間の範囲内で、無理のない送迎計画を組み上げる作業が、直観的な操作でできるのは、本当に便利だと感じました」(八重樫氏)。
また八重樫氏は、DRIVEBOSSが提供する“前週コピー”の機能についても、高く評価する。
「私たちのケアセンターは、月曜日から土曜日まで、大体毎日、同じ利用者様がご利用されます。なので送迎計画を作る際には、前週作成した計画をコピーして、それに微調整を加えることで今週分の計画を作ることができれば非常に便利です。介護システムにはその機能が無かったのですが、DRIVEBOSSを導入したことで前週コピーが可能になりました。これによって本当に速い時には約10分で送迎計画を作ることができます。以前の約6分の1ですね。業務時間が大きく削減されているなという実感があり、事実、利用者の皆様に接する時間を増やすことができています」(八重樫氏)。
またDRIVEBOSSでは、各送迎車の座席表まで、送迎計画の作成者が作ることができるようになっているが、同ケアセンターでは現在、実際の配席については現場のドライバーや同乗の介護スタッフに委ねている。
「ただし今後、利用者様の数が増えて、現場の皆さんの負担が高まってくる可能性もあります。その時には、私たちのほうで座席表の作成まで吸収するということも考えられますが、DRIVEBOSSを使えば、大きな負荷にはならないと思います」(八重樫氏)。
さらにDRIVEBOSSは、これまで戸上氏と八重樫氏だけの“暗黙知”だった全利用者の自宅の場所を、地図上に表示してくれる。
「これから新しい人が入ってきた時に、2年もの時間をかけて道を覚えてからでなければ送迎計画を作成できない、ということも無くなりました。送迎計画作成の属人性も大幅に低減されていると言えます」(八重樫氏)。
今後、同ケアセンターでは、現在利用しているカーナビのリースアップなどのタイミングで端末をリプレイスし、DRIVEBOSSとカーナビの連携も実現したい考えだ。
「利用者様からのお休みの連絡は、当日の朝、お迎えに向かっている最中にいただくこともあります。その際には運転手さんに電話をかけるしかありませんが、運転中であれば当然出ることはできません。しかしDRIVEBOSSがカーナビと連携していれば、該当する送迎車の現在地をオフィスで確認した上で“〇〇さん、お休みになりました”というメッセージをナビ画面に送ることができるようになります。今、まず車両2台について、カーナビ端末のリプレイスとDRIVEBOSSとの連携を進めているところです」(戸上氏)。
また現在、同ケアセンターでは、決められた時間内で全ての送迎を完了するためには、細い道筋を通らなければならないなどの制約があり、DRIVEBOSSが自動作成した送迎計画では、まだ微調整が必要になるという。
「この自動作成機能がDRIVEBOSSの最大の特徴だと思いますが、私たちのDRIVEBOSSは、まだ“学習中”です。今後、私たちの利用が進み、またDRIVEBOSSの機能が強化されていくことで、より精度の高い計画を自動作成してくれることを期待しています」(八重樫氏)。
そして最後に戸上氏は「夢の話ですが」と前置きした上で「利用者様への送迎時間の連絡までDRIVEBOSSがしてくれれば、こんなにうれしいことはありません」と続ける。
「介護システムには、利用者様の電話番号やFAX番号、メールアドレスの情報も入っています。なのでその情報を使って、私たちが送迎計画を作成し終わったのと同時に、DRIVEBOSSが電話の自動音声やFAX、メールで、各利用者様に送迎時間の連絡をしてくれれば、今電話連絡を担当している他のスタッフさんの業務時間もまた1時間、減らすことができます。夢のような話かもしませんが、今後のDRIVEBOSSに是非期待したいところです」(戸上氏)。
※ パナソニックエイジフリー様のオリジナル機能です
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