過積載が引き起こす問題とは?罰則や責任、遵守するための対策について解説

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過積載が引き起こす問題とは?罰則や責任、遵守するための対策について解説

過積載が引き起こす問題とは?罰則や責任、遵守するための対策について解説

  • 『過積載』は日本の物流業界において長年にわたり深刻な課題と問題視されている
  • 過積載は単なる法令違反に留まらず、人命に関わる重大な事故を引き起こす可能性がある
  • 法令を遵守し、より安全な管理体制構築に『DRIVEBOSS(ドライブボス)』が貢献

※本記事は2025年4月7日時点の情報を元にして作成されています。

日本の物流業界における過積載は、安全性や法令遵守はもとより、道路インフラや車両寿命にも悪影響を及ぼす根深い問題となっています。
本記事では、過積載の実態や法的責任、事故リスクなどを解説します。物流管理に携わる方々にとって、安全で効率的な運行管理体制構築の一助となれば幸いです。



1.過積載の課題と重要性

過積載(かせきさい)は、日本の物流業界において長年にわたり深刻な課題として問題視されています。物流業務の効率化を図る上で『積載量』は重要な要素となりますが、最大積載量を超えた状態での運行は、数多くのリスクと法的な問題を孕んでおり、安全性の確保、道路インフラの維持、そして法令遵守といった観点から、広い範囲に影響しています。

また、過積載は、シートベルト非着用や違法駐車と並び「新交通三悪」の一つに数えられており、社会全体としてその危険性が強く認識されています。単なる法令違反という枠を超え、公共の安全を脅かす重大な行為と考えられており、自社の安全管理体制を見直す上で重要な視点となります。



2.過積載の定義や、法的影響と罰則について

過積載は安全運行を脅かすだけでなく、重大な法的責任と罰則を伴います。運転手だけでなく事業者や荷主にまで責任が及ぶ可能性があるため、物流に関わるすべての関係者が正確な理解と厳格な管理を行う必要があります。

過積載の定義と法的責任

過積載とは、道路交通法に定められた、最大積載量を超えて貨物を輸送する行為を指します。重要な点として「過積載には一切の許容範囲は存在しない」ということが挙げられます。最大積載量を少しでも超過した場合、直ちに法令違反と判断されるため「少しくらいなら大丈夫だろう」といった安易な考えは危険な判断となります。過積載を行った場合、その責任は運転手のみならず、運送事業者、さらには輸送を依頼した荷主にも及ぶ可能性があります。

違反者への罰則と荷主への影響

違反者には、罰金、懲役、車両の使用停止、事業許可の取り消し、運転免許の減点など、多岐にわたる厳しい罰則が科せられます。荷主が運送会社に過積載を強要した場合も、国土交通省による勧告や公表の対象となる可能性があり、近年、サプライチェーン全体での責任がより明確化される傾向にあります。つまり、物流管理者が自社のオペレーションだけでなく、取引先との連携においても、積載量の適正化を強く意識する必要がある、ということになります。

過積載の違反点数と反則金(大型車の場合)

 過積載の違反点数と反則金(大型車の場合)は、超過割合に応じて以下のように定められています。

超過割合 違反点数 反則金
5割未満 2点 30,000円
5割以上10割未満 3点 40,000円
10割以上 6点 懲役または罰金

この表からも明らかなように、過積載の程度が大きくなるほど法的責任も重くなります。物流管理者はこれらの罰則内容を十分に理解し、社内全体に周知徹底することで、法令遵守の意識を高める必要があります。

3.過積載がもたらす重大なリスクと影響

過積載は、車両の安全性、道路インフラ、そして環境に多大な悪影響を及ぼします。これらのリスクを十分に理解し、安全な運行体制を構築することが不可欠です。

車両の制動距離が長くなる

過積載は制動距離(ブレーキをかけてから完全に停止するまでの距離)が著しく長くなります。これは、積載量が増えるほど車両の運動エネルギーが大きくなり、停止に必要な距離が長くなるためです。定量積載のトラックと比較して過積載のトラックは、停止のためにより長い距離を必要とします。

例えばある実験では、10トン積載のトラックが40km/hで走行した場合の制動距離が13.3mであるのに対し、14トン(140%積載)では14.6m、18トン(180%積載)では16.1mと、積載量の増加に伴い制動距離が顕著に伸びることがデータでも示されています。制動距離が長くなることで、追突事故などの重大な事故を引き起こす可能性が高くなります。

参考:適正化事業情報誌 Vol.14|公益社団法人奈良県トラック協会

車両の速度制御が困難に

また、車両のスピード制御も困難になります。特に下り坂では、積載量の増加によって位置エネルギーと運動エネルギーが増大し、予想以上にスピードが出てしまうことがあります。これにより、ブレーキが間に合わずに事故につながるリスクが高まります。
さらに、過積載はブレーキへの負荷を増大させ、ブレーキが過熱して機能しなくなるフェード現象を引き起こす可能性もあります。

車両の安定性の低下

積載量の増加は車両の安定性を低下させ、荷崩れのリスクも高めます。重心が高くなることで、カーブ走行時などに車両が横転する危険性も増大します。走行中に荷崩れが発生した場合、積載物が道路に散乱し、後続車の事故を誘発する可能性があります。

道路インフラと車両への負担

道路インフラへの影響も深刻です。過積載車両は道路に過度な負荷を与え、わだちやひび割れなどの損傷を引き起こします。特に道路橋に対しては、その劣化を著しく進行させる要因となり、修繕費用の増大や交通規制につながる可能性があります。車両自体への負担も無視できません。過積載は、タイヤ、車軸(ハブ)、クリップボルト、サスペンションなど、車両の各部に設計値を上回る負荷をかけ、車両の劣化を早めます。タイヤの破裂(バースト)や車軸の破断、車輪の脱落といった重大な車両故障を引き起こす可能性も指摘されています。このような車両の故障は、事故に直結するだけでなく、修理や車両交換のコスト増にもつながります。

環境への負荷

さらに、過積載は燃費の悪化を招き、排気ガスの増加につながるため、環境への負荷も増大します。エンジンへの過度な負荷は、CO2や有害物質の排出量を増加させ、地球温暖化や大気汚染を促進する要因となります。


4.過積載発生の背景と原因

物流業界において過積載が発生する背景には、複数の要因が複雑に絡み合っています。これらの構造的な問題点を理解した上で、効果的な対策を講じる必要があります。

荷主からの運賃値引き要求や、急な輸送量増加

荷主からの運賃の値引き要求があると、運送事業者が利益を確保するために一台のトラックにできるだけ多くの荷物を積載しようとする可能性があります。
また、荷主の都合による急な輸送量の増加の依頼も、限られた車両数で対応しようとする結果、過積載を引き起こす可能性があります。

ドライバー不足と人件費高騰

慢性的なドライバー不足と人件費の高騰も、過積載の背景にある重要な要因です。十分な数のドライバーを確保できない状況下では、既存のドライバーに過度な負担がかかり、効率を優先するあまり過積載につながることがあります。

納品時間の厳格化と、ジャストインタイム方式の普及

さらに、納品時間の厳格化やジャストインタイム(JIT)方式の普及も、過積載を誘発する可能性があります。時間的な制約が厳しい中で、一度の運行でより多くの荷物を運ぼうとする動きが、積載量の超過につながります。

荷主による不正確な貨物重量申告

また、荷主が貨物の重量を正確に申告しなかったり、情報が足りなかったりすることが、意図せず過積載となる原因の一つとして挙げられます。運送事業者は、荷主から提供される情報に基づいて積載計画を立てるため、この情報の精度が非常に重要となります。


5.過積載が原因となった重大事故

過積載が原因となり過去に発生した重大事故の事例は悲惨な結末となっており、改めて過積載の危険性を認識させられます。過積載は単なる法令違反に留まらず、人命に関わる重大な事故を引き起こす可能性があります。

タイヤ脱落によるバス運転手死亡事故

2008年4月には、東名高速道路で大型トラックのタイヤが脱落し、中央分離帯を越えて対向車線の観光バスを直撃、バスの運転手が死亡するという痛ましい事故が発生しました。この事故の原因の一つとして、トラックが最大積載量の1.5倍近い廃プラスチックを積載していた過積載状態であったことが指摘されています。過積載が繰り返されたことで、タイヤのボルトに過度な力が加わり、破断を早めた可能性があります。

参考:【2821号/2010年5月16日】特集・ストップ過積載(2)|計量計測データバンク

過積載の大型トレーラー横転による歩行者死亡事故

2006年7月には、静岡県清水区の国道1号バイパスで、過積載の大型トレーラーが横転し、20歳の女性歩行者が下敷きになり死亡する事故が発生しました。裁判所は、トレーラーが過積載状態であったことと、横転しない速度の限界を超えて右折を行ったことが事故の原因であると認定し、運転手に実刑判決を言い渡しました。

参考:【2821号/2010年5月16日】特集・ストップ過積載(2)|計量計測データバンク

ダンプトラックと列車の衝突事故

1992年には、千葉県で過積載のダンプトラックが踏切で列車と衝突し、列車の運転士が死亡、多数の乗客が負傷するという重大事故が発生しました。このダンプトラックは、最大積載量の約4倍の土砂を積載しており、急な下り坂で停止できずに踏切に進入したことが原因とされています。この事故を契機に、列車の前面構造が強化されました。
また、当時このような大型車の過積載による重大な事故が多発していたため、翌年1993年には道路交通法が改正され、過積載の取り締まりが強化されました。

参考:大菅踏切事故|JR東労組(東日本旅客鉄道労働組合)

トラックの正面衝突事故

2004年には、岐阜県のトンネル付近で、過積載のトラックが対向車線の乗用車と正面衝突し、両方の運転手を含む7名全員が死亡するという悲惨な事故が発生しました。事故原因は、過積載によるタイヤの破裂であり、トラックは最大積載量の1.5倍の建設資材を積載していました。この事故を受け、運送会社の社長が道路交通法違反で起訴されました。

参考:東海北陸道の対面通行区間で再び衝突 | レスポンス(Response.jp)


6.過積載防止のための戦略とテクノロジー

過積載防止には、重量計測の徹底、教育・指導、荷主との連携、組織的な計画策定、そしてテクノロジーの活用といった、多角的な取り組みが不可欠です。これらの対策を組み合わせることで、過積載のリスクを最小限に抑え、安全で効率的な物流オペレーションを実現することができます。

正確な重量計測と、周知・監督体制の強化

まず貨物の積載前に、正確な重量を測定することが不可欠です。そのためには、検定済みの自重計やトラックスケールを導入し、積載する貨物の重量を正確に把握する体制を構築する必要があります。目視での確認に頼るのではなく、数値に基づいた管理を徹底することが重要です。

また各車両の最大積載量は、運転手を含む関係者全員が正確に理解しておく必要があります。車両ごとに異なる最大積載量を混同しないよう、車両台帳などを整備し、情報を共有することが重要です。積載作業時には監督者を配置し、積載量が最大積載量を超えていないかを確認する体制を設けることも有効です。監督者は計量結果や目視での確認を行い、過積載を未然に防ぐ役割を担います。

ドライバー教育や荷主連携、計画策定

さらに、ドライバーに対して、過積載の危険性や法的責任について定期的に教育・指導を行うことが重要です。過積載がもたらすリスクを具体的に理解させることで、ドライバーの意識改革を促し、自主的な過積載防止行動を促すことが期待できます。

荷主との連携も不可欠です。貨物の正確な重量情報を事前に共有してもらうとともに、無理な運送依頼や納期設定をしないよう協力を求める必要があります。

企業として過積載防止計画を策定し、それを組織全体で共有・実施することも重要です。計画には、具体的な防止策や責任体制、違反した場合の措置などを明確に定める必要があります。また、運行記録を徹底し、過積載の兆候がないか定期的に確認することも重要です。

テクノロジーを活用した過積載防止策

近年ではテクノロジーを活用した過積載防止策も注目されています。例えば、車両に搭載されたセンサーで積載重量をリアルタイムに計測し、管理者に通知するシステムや、計量器とラベルプリンターを組み合わせることでトラックに載せる前の積荷を計量し、高い積載率での過積載対策を実現するシステムなどが開発されています。これらのテクノロジーを導入することで、より効率的かつ確実に過積載を防止することが可能になります。


7.過積載防止と物流管理体制構築をサポートする『DRIVEBOSS(ドライブボス)』のご紹介

当社パナソニック カーエレクトロニクスが提供する『DRIVEBOSS(ドライブボス)』は配車計画作成時に積載量を考慮し、効率的なルートを立てることで過積載防止に貢献します。

『DRIVEBOSS(ドライブボス)』の機能概要と過積載防止への貢献

リアルタイムでの車両位置情報や運行状況の把握(動態管理) 、速度超過や急加速や急ブレーキなどの危険運転挙動のモニタリング(安全運転支援) 、日々の業務日報の自動作成 、ドライバーへのスマートフォンを介したメッセージ通知機能など、多岐にわたる機能が搭載されています。これらの機能は、過積載防止策として推奨されている、正確な積載計画の作成、運行状況の可視化、ドライバーへの安全運転指導などをより効率的に行うことを可能にします。例えば、配車計画時に車両の積載量を考慮することで、そもそも過積載となるような運行計画を立てることを防ぎます。
また、安全運転支援機能は、ドライバーの運転行動を客観的に評価し、安全意識の向上を促すことで、無理な積載による危険な運転を抑制する効果が期待できます。

『DRIVEBOSS(ドライブボス)』の特長と導入効果

『DRIVEBOSS(ドライブボス)』は、直感的で使いやすい操作画面を備えており、IT機器の操作に不慣れな方でも容易に導入・運用が可能です。
また、複数の条件を考慮し、自動で配車計画を作成できるため、運行管理業務の効率化を実現でき、コスト削減、そして安全性の向上にも貢献します。『DRIVEBOSS(ドライブボス)』を活用することで、より安全で効率的、そして法令を遵守した物流業務のオペレーションを実現することが可能になります。


8.効率化と安全性の向上につながった『DRIVEBOSS(ドライブボス)』導入事例

実際に『DRIVEBOSS(ドライブボス)』を導入いただいた企業では、業務効率の向上や安全性の強化といった効果が表れています。『DRIVEBOSS(ドライブボス)』は単に業務を効率化するだけでなく、安全性の向上にも大きく貢献しています。

マツナガ様での危険運転減少

株式会社マツナガ様では、『DRIVEBOSS(ドライブボス)』の導入により、危険運転の発生件数が約10分の1に減少しました。これは、『DRIVEBOSS(ドライブボス)』の安全運転支援機能が、ドライバーの安全意識向上に大きく貢献した結果と言えます。安全運転の意識が高まることは、過積載のような無理な運行を抑制する効果も期待できます。

詳しくは以下のページをご覧ください。
株式会社マツナガ 様 │ 【配送】運行管理で運転状況の見える化 DRIVEBOSS | Panasonic


丸井スズキ様での交通事故ゼロと保険料削減

株式会社丸井スズキ様では、『DRIVEBOSS(ドライブボス)』の導入後、1年間で交通事故がゼロとなり自動車保険料を約2割削減することに成功しました。これも『DRIVEBOSS(ドライブボス)』の安全運転支援機能がもたらした明確な効果です。

詳しくは以下のページをご覧ください。
株式会社丸井スズキ 様 │ 【商社】運行管理で安全運転を支援 DRIVEBOSS | Panasonic


中央ビルサービス様での事故件数とコスト削減

中央ビルサービス株式会社様では、危険運転アラート機能により事故件数を大幅に削減し、車両台数とガソリンコストの削減にも成功しています。

詳しくは以下のページをご覧ください。
中央ビルサービス株式会社 様 │ 【ビルメンテナンス】危険運転アラートで事故を大幅削減 DRIVEBOSS | Panasonic



9.まとめ:過積載防止の重要性と『DRIVEBOSS(ドライブボス)』の活用

過積載は安全性、法令遵守、インフラへの影響、そして運営コストの増大といった、多岐にわたる深刻な問題を引き起こします。過去の痛ましい事故事例が示すように、過積載は人命に関わる重大な危険性も孕んでおり、その防止は最優先に取り組むべき課題です。過積載のリスクを軽減し、安全で法令を遵守した物流オペレーションを実現するためには、事前の重量計測の徹底、従業員への教育、荷主との連携、そして組織的な管理体制の構築が不可欠です。

当社の『DRIVEBOSS(ドライブボス)』は、これらの課題に対する包括的なソリューションを提供します。自動化されたルート計画、リアルタイムな運行状況の可視化、そしてドライバーの安全運転を支援する機能は、過積載のリスクを効果的に低減し、物流業務全体の効率化と高度化を同時に実現します。

この機会にぜひ『DRIVEBOSS(ドライブボス)』の詳細をご確認いただき、自社の物流オペレーションへの導入をご検討いただくことをお勧めします。
気になることがございましたら、お気軽にお問い合わせください。専門スタッフがご対応いたします。

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