バースとは?物流の「2024年問題」にも関わる待機時間と課題解決策を解説

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バースとは?物流の「2024年問題」にも関わる待機時間と課題解決策を解説

バースとは?物流の「2024年問題」にも関わる待機時間と課題解決策を解説

  • 2024年問題により、荷待ち時間の削減は急務の経営課題となった
  • 待機時間の背景には、トラックの集中や非効率な受付など構造的な要因がある
  • バース予約・管理システムや配車システムの導入は、待機時間を抜本的に改善する有効な一手となる

※本記事は2025年7月11日時点の情報を元にして作成されています。

物流拠点における「バース」の混雑とドライバーの待機時間は、多くの企業が直面する深刻な経営課題です。この問題は物流の生産性を低下させるだけでなく、2024年4月から施行された「2024年問題」とも深く関わっています。Eコマース市場の急拡大とジャストインタイム納品の普及により、物流への要求はかつてなく高まる一方で、トラックドライバーの慢性的な人手不足と労働環境の悪化が社会問題となっています。特に、平均1時間34分にも及ぶ荷待ち時間は、単なる非効率を超えて、法令遵守と事業継続性を脅かす経営リスクへと変質しています。

本記事では、物流におけるバースの基本概念から、待機時間問題の構造的な要因、そして最新のテクノロジーを活用した具体的な解決策まで、豊富な事例とデータを交えながら分かりやすく解説します。



1.物流におけるバースとは?その基本的な役割と重要性

物流業界で頻繁に使われる「バース」という言葉の正確な意味と重要性を理解することが、問題解決の第一歩となります。バースは単なる物理的なスペースではなく、サプライチェーン全体の効率を左右する戦略的な拠点です。

トラックの荷役作業を担う「バース」の定義

物流業界における「バース」とは、倉庫や物流センターなどで、トラックが荷物の積み込みや荷降ろし(荷役作業)を行うために接車する専用スペースを指します。英語では「truck berth」と表現され、輸送と保管をつなぐ結節点として、物流オペレーションの起点かつ終点となる重要な役割を担っています。

このバースでの作業効率は、物流プロセス全体のスピードと生産性に直結します。

港湾や交通機関など、多岐にわたる「バース」の意味

「バース」という言葉は、物流業界以外でも多様な意味で使われています。例えば、港湾では船舶が係留・荷役する場所を指し、鉄道や旅客機では棚状の寝台を意味することもあります。さらに、バスやタクシーの発着所を指す場合もあります。

本記事では、これらの中から物流現場で使われる「トラックバース」に焦点を絞って解説します。

なぜ今、物流現場でバースが重要視されるのか

近年、Eコマース市場の拡大やジャストインタイム納品の普及により、物流の迅速性と正確性に対する要求はかつてなく高まっています。このような状況下で、バースの重要性は飛躍的に増しています。

適切に設計されたバースは、トラックの荷台と倉庫の床の高さを合わせることで、フォークリフトなどによる荷役作業をスムーズにし、作業効率を向上させます。
また、車両と作業員の動線を明確に分離することで、接触事故などのリスクを低減し、安全な作業環境を確保する役割も果たします。

しかし、その重要性の裏返しとして、バースはサプライチェーンにおける「戦略的なボトルネック」となり得ます。バースはモノの流れを制御する関所のような存在で、ここでのわずかな遅延は後続のトラックに次々と影響が波及し、倉庫全体のオペレーションを麻痺させ、最終的にはサプライチェーン全体に遅延を引き起こす連鎖反応の起点となります。

かつて単なる作業スペースと見なされていたバースの管理は、今や物流全体の安定性と競争力を維持するための極めて重要な戦略課題として認識されています。


2.物流の根幹を揺るがす「バース問題」とは?

バースの重要性が高まる一方で、「バース問題」と呼ばれる深刻な課題が顕在化しています。その中心にあるのが、ドライバーの長時間にわたる待機、いわゆる「荷待ち」です。この問題は単なる非効率にとどまらず、業界全体の持続可能性を脅かすレベルに達しています。

平均1時間28分—深刻化するドライバーの待機時間

国土交通省が2024年度に実施した最新の調査によると、トラックドライバーの1運行あたりの平均荷待ち時間は1時間28分でした。この調査では、ドライバーの平均拘束時間は前回調査(2020年度)に比べて約40分減少した一方で、荷待ち時間はほぼ横ばいであることが明らかになっています。

参考:国土交通省提出資料|第17回トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会

この事実は、2024年問題の施行後も荷待ちという構造的な問題が改善されず、依然としてドライバーに大きな負担を強いている現状を浮き彫りにしています。

待機時間を生み出す5つの構造的要因

なぜこれほど長時間の待機が発生するのでしょうか。その背景には、複数の要因が複雑に絡み合った構造的な問題が存在します。

トラック到着の集中

特定の時間帯に複数のトラックが集中して到着することが、待機列を生む最大の原因です。事前のスケジュール調整が不十分な場合に頻発します。

到着予測の困難さ

道路の渋滞状況や天候、ドライバーの休憩時間など、トラックの運行には不確定要素が多く、正確な到着時刻の予測が困難です。そのため、計画的なバースへの誘導も難しくなっています。

倉庫内作業の遅延

荷主側でのピッキングや検品、荷造りといった庫内作業が遅れると、トラックが到着してもバースが空かず、結果的に待機時間が発生します。

人手不足

倉庫作業員やドライバーの慢性的な人手不足は、荷役作業そのものの遅延を招き、バースの回転率を低下させる大きな要因となっています。

非効率な受付・誘導

現在でも多くの現場で、電話や紙の書類を用いたアナログな受付業務が行われています。この非効率なコミュニケーションが、スムーズな車両誘導を妨げ、無駄な待ち時間を発生させています。

「2024年問題」により、経営課題は新たなステージへ

これらのバース問題は、2024年4月1日から適用が開始されたトラックドライバーの時間外労働上限規制、いわゆる「2024年問題」によって、その深刻度が現実のものとなりました。

重要なのは、ドライバーの「拘束時間」には運転時間だけでなく、荷待ち時間も含まれるという点です。
つまり、これまで法的には拘束時間として制限されていたものの、暗黙の了解で常態化していた荷待ち時間が、2024年問題の施行により、ドライバーの労働時間上限を直接圧迫する法令違反に直結する問題として顕在化しました。この規制適用により、バース問題は単なる「効率」の問題から「コンプライアンス」と「事業継続」に関わる経営リスクへと変質しました。企業の輸送能力の低下に直結し、売上機会の損失を意味します。

荷主・運送会社・ドライバー、三者に及ぶ悪影響

バース問題がもたらす負の影響は、サプライチェーンに関わるすべてのステークホルダーに及びます。

ドライバーへの影響

長時間待機は疲労の蓄積やストレスの増大を招きます。多くの場合、待機時間は休憩扱いとされ、正当な対価が支払われないことも少なくありません。このような劣悪な労働環境が業界の魅力低下と深刻なドライバー不足を加速させています。

運送会社への影響

ドライバー一人当たりの運行回数が減少し、生産性が著しく低下します。また、拘束時間の増加は残業代などの人件費を圧迫し、収益性を悪化させます。ドライバーの定着率低下にも繋がり、経営の安定を脅かします。

荷主への影響

配送スケジュールの遅延や不安定化は、顧客サービスの質の低下に直結します。また、運送会社が負担するコストは、いずれ運賃として荷主企業に転嫁される可能性があります。

加えて、「荷主勧告制度」の存在も無視できません。この制度は、運送事業者の法令違反の背景に荷主側の原因があると認められた場合、国が荷主に対して是正措置を勧告するものです。
つまり、自社のバース管理の不備が原因でドライバーの長時間労働を引き起こした場合、荷主企業自身が行政指導の対象となり、企業の評判を損なう直接的なリスクを負うことになります。

 

3.バース問題を解決する具体的なアプローチとは?

深刻化するバース問題に対し、企業はどのような対策を講じるべきでしょうか。解決策は、現場ですぐに着手できる運用改善から、テクノロジーを活用した抜本的な改革まで多岐にわたります。

現場でできる運用改善(ハード面・ソフト面)

まず、大規模な投資を伴わずに実施可能な改善策から検討することが有効です。

ハード面の改善

・バースの役割分担:入荷用と出荷用のバースを明確に分けることで、車両の動線が交錯するのを防ぎ、構内の混雑を緩和できます。

・レイアウトの最適化:トラックヤード(待機場所)やバース周辺のレイアウトを見直し、車両がスムーズに移動できる動線を確保します。

ソフト面の改善

・ルールの明確化:バースの利用ルールを策定し、関係者全員に周知徹底します。

・時間帯の分散:運送会社と協力し、トラックの到着時間帯を意図的に分散させるようスケジュールを調整します。

・情報共有の強化:倉庫の作業状況やバースの空き情報を、ドライバーや運送会社と密に共有する体制を構築します。

バース予約・管理システムの導入による抜本的課題解決

現場レベルの改善努力は重要ですが、それだけでは限界があります。特に、リアルタイムで変動する交通状況や突発的な作業遅延に、人手だけで柔軟に対応し続けることは極めて困難です。

そこで、バース問題の抜本的な解決策として注目されているのが、「トラックバース予約管理システム」の導入です。このシステムは、運送会社やドライバーが事前にオンラインでバースの利用時間を予約できるようにするもので、車両の到着を計画的に分散させ、特定の時間帯への集中を避けることで、待機時間を劇的に削減します。

システムを導入することで、単に待機時間を減らすだけでなく、物流拠点全体のオペレーションを大きく変革できます。具体的には主に以下の4つの改善が実現可能です。

1. 待機時間の削減:事前に予約された時間枠に合わせてトラックが到着するため、到着後の長い待ち時間が解消されます。バースが空くのを待つのではなく、空いている時間に合わせて到着するという効率的な運用が可能になります。

2. 受付・誘導の省人化:車両ナンバー認識カメラやスマートフォンで発行されるQRコードなどを活用した受付業務の自動化は、受付担当者の業務負荷を軽減し、人手不足の解消にも貢献します。

3. 作業時間の可視化:「いつ到着し、いつ作業を開始し、いつ出発したか」という正確なデータがデジタルで記録されます。このデータは、荷役作業の生産性分析や改善点の特定に不可欠です。また、2017年から義務化された「30分以上の荷待ち時間」の記録にも正確かつ効率的に対応できます。

4. セキュリティの向上:事前に予約された車両のみの入場を許可したり、構内にいる車両をリアルタイムで把握したりすることで、部外者の侵入を防ぎ、拠点全体のセキュリティレベルを高めることができます。



4.バースの課題解決を加速する『DRIVEBOSS(ドライブボス)』とは

バース問題の解決に向けて様々なシステムが提供されていますが、ここではパナソニック カーエレクトロニクスが提供する『DRIVEBOSS』を紹介します。このサービスは、バース周辺の課題解決に留まらず、配送プロセス全体を最適化する機能を備えています。

業務効率化と安全運転意識の向上を支援するクラウド型配車システム

『DRIVEBOSS』は、業務効率化と安全運転意識の向上を支援するために開発されたクラウド型の配車システムです。物流現場が抱える多様な課題に対応するソリューションを提供しています。

「業務見える化」と「配車計画自動化」で待機時間を抜本改善

『DRIVEBOSS』がバース問題の解決に貢献する理由は、その2つの機能にあります。

・配車計画自動作成機能:複数の配送先の位置や荷物量、時間指定といった様々な条件を考慮し、AIが最適な配送ルートとスケジュールを自動で作成します。

・スマホ連携機能:スマートフォンのアプリを通じて、リアルタイムの車両位置、走行状況、作業ステータスなどを管理画面上で一元的に把握できます。事務所とドライバー間でメッセージの送受信も可能なため、急な配送指示や状況変化にも迅速に対応できます。

これらの機能は、バース問題を根本から解決する上で有効な組み合わせとなります。一般的なバース予約システムが、あくまで「到着したトラックをどう捌くか」という事後対応的なアプローチであるのに対し、『DRIVEBOSS』はより上流のプロセスに介入します。

まず、AIが最適化する「配車計画自動化」機能が、そもそもバースの混雑を引き起こす原因である「非効率で偏った配送計画」そのものを発生させないようサポートします。

そして、スマホ連携機能が、計画通りに進まない不測の事態に対応します。例えば、あるトラックが渋滞に巻き込まれて遅延した場合、管理者はその状況をリアルタイムで把握し、即座にドライバーや倉庫側と連携してバースのスケジュールを再調整できます。

このように、『DRIVEBOSS』は「計画段階での混雑予防」と「実行段階での柔軟な状況対応」の両方を実現します。単にバース前の行列を管理するだけでなく、行列そのものを発生させないための仕組みと、万が一の際に混乱を最小限に抑えるためのツールを同時に提供する点が大きな強みです。

導入が容易で、ドライバーにも使いやすい操作性

新たなシステムの導入を検討する際、導入の手間や現場への浸透が懸念点となることは少なくありません。
しかし『DRIVEBOSS』は、クラウドサービスであるため、大掛かりな専用機器の設置や初期投資を抑えて導入することが可能です。

また、システムの導入効果を最大化するには、管理者だけでなく、実際にハンドルを握るドライバーや、連携する協力会社の担当者にとっても使いやすいことが不可欠です。操作が複雑であったり、現場の実態に合っていなかったりすると、せっかく導入したシステムが形骸化してしまう恐れがあります。

その点、『DRIVEBOSS』は直感的な操作性が考慮されており、多くの現場で利用実績があるため、導入後のスムーズな運用定着が期待できます。


5.『DRIVEBOSS(ドライブボス)』による物流課題の解決事例

ここでは、実際に『DRIVEBOSS』を導入し、物流現場の課題解決に成功した企業の事例を3つ紹介します。計画の最適化、配送状況の見える化、そしてドライバーの負担軽減といったシステムの効果が、現場の課題解決にどう結びつくか、具体的な内容を見ていきましょう。

【株式会社マツナガ様】リアルタイムの配送指示で車両の集中を回避

・導入前の課題:顧客数の急増に伴い、配送体制の効率化が急務となっていた株式会社マツナガ様では、特に突発的に発生する「スポット配送」の指示が非効率であることが課題でした。

・導入後の効果:従来は電話でドライバーの状況を確認していましたが、『DRIVEBOSS』導入後は、管理画面の地図上で全車両の現在地を把握し、最も近くにいるドライバーにメッセージ機能で的確な指示を出せるようになりました。これにより、システマティックで効率的な配車が実現しました。
ドライバー側も、目的地情報が直接ナビに送信されるため、ナビに住所を入力する手間がなくなり、より安全でストレスのない配送環境が整いました。

この事例のように、リアルタイムの可視化と効率的なコミュニケーションは、無駄な車両の動きをなくし、結果としてバースへの不要な集中を回避する上で有効な手段となります。

詳しくは以下のページをご覧ください。
株式会社マツナガ 様 │ 【配送】運行管理で運転状況の見える化 DRIVEBOSS | Panasonic


【いるま野農業協同組合様】大規模な配車計画の最適化で拠点の混雑を解消

・導入前の課題:38カ所の支店で行っていた配送業務を3つの拠点に集約するという大規模な再編を行った、いるま野農業協同組合様。この再編により配送エリアが広域化し、土地勘のないエリアを走行するドライバーへの対応や、複雑化した配車計画の作成が大きな課題となりました。

・導入後の効果:『DRIVEBOSS』のAIによる配車計画自動作成システムを導入したことで、この課題を解決。土地勘や経験に左右されることなく、誰でも最適な配送計画を作成できる体制を構築しました。

この結果、各車両が効率的なルートで計画的に目的地に到着できるようになり、集約された拠点での効率的な配送を実現しています。この事例は、計画段階で混雑の根源を断つという、システムの戦略的な活用法の好例です。

詳しくは以下のページをご覧ください。
いるま野農業協同組合 様 │ 配送業務の集約で効率的な配送を実現!配車システムのドライブボス


6.まとめ:バース問題の解決は、持続可能な物流の第一歩

本記事で見てきたように、物流拠点における「バース」は、サプライチェーン全体の効率と安定性を左右する極めて重要な要素です。そして、バースでの待機時間問題は、単なる現場の非効率に留まらず、2024年4月からの時間外労働上限規制の適用(いわゆる2024年問題」)によって、企業のコンプライアンスや事業継続性そのものを脅かす経営リスクへと現実化しました。

現場での運用改善も重要ですが、複雑化・高度化する現代の物流環境において、人手だけに頼った対策には限界があります。バースの混雑を根本から解消し、持続可能な物流体制を構築するためには、テクノロジーの活用が不可欠です。

『DRIVEBOSS』のような配車システムは、AIによる計画の最適化とテレマティクスによるリアルタイムの可視化を組み合わせることで、混雑の「予防」と「対応」の両方を実現します。これにより、待機時間の削減、ドライバーの負担軽減、そして物流拠点全体の生産性向上といった多面的な効果をもたらします。

この機会にぜひ『DRIVEBOSS(ドライブボス)』の詳細をご確認いただき、自社の物流オペレーションへの導入をご検討いただくことをお勧めします。
気になることがございましたら、お気軽にお問い合わせください。専門スタッフがご対応いたします。

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