
荷主の定義・分類から最新の責任・課題・対策まで解説
食品物流の現状と課題、解決に向けたテクノロジー活用について解説
※本記事は2025年4月17日時点の情報を元にして作成されています。
食品を生産地から消費者の食卓へ、安全かつ新鮮な状態で届ける食品物流。その重要性は日々増していますが、厳格な温度管理や衛生管理、複雑な日付・時間管理といった特有の難しさがあります。加えて「物流2024年問題」による輸送能力不足やコスト上昇、人手不足は、業界全体にとって喫緊の課題です。
本記事では、食品物流の基礎知識から現在直面している課題、そしてAI・IoT・自動化といった最新テクノロジーを活用した解決策までを分かりやすく解説します。そして、『DRIVEBOSS(ドライブボス)』が、これらの課題解決にどのように貢献できるのか、具体的な機能や導入メリットを交えてご紹介します。
目次
食品物流とは、食品を生産地から消費者の手元に届けるまでの一連の活動を指します。これには農林水産物、製造された食品、輸入品など、多岐にわたる食品に対して、調達、輸送、保管、分別、包装、配送といった一連のプロセスが含まれます。
そして、食品物流の最も重要な目的は『食品を新鮮かつ安全な状態で消費者に届ける』という部分にあります。
食品物流は一般的な物流と比較して、より厳格な管理体制が求められる、という大きな違いがあります。前述のとおり食品物流においては『食品を新鮮かつ安全な状態で消費者に届ける』という大目的が存在するためです。一般的な物流では物品の量や形状、重量などが重要な要素である一方で、食品物流においては『品質保持』という要素が極めて重要です。冷蔵や冷凍の必要性、賞味期限や消費期限の遵守などが求められるため、食品物流は『温度管理』『日付管理』『時間管理』『コスト管理』の4つの要素を特に意識する必要があります。
食品を『品質保持とともに配送する』という重要な目的がある一方で、食品物流業界はECの拡大による小口配送の増加、2024年問題による労働環境の変化、環境負荷低減や食品ロス削減といった社会的要請への対応も求められています。
近年、食品の流通経路は多様化し、EC市場の拡大によって食品の小口化や複雑化が進んでいます。消費者からは「できるだけ迅速に配送してほしい」というニーズの高まりも加わり、物流現場では業務が過多になりやすい状況です。
2024年4月からのトラックドライバーの時間外労働の上限規制適用により、労働時間が短縮し、輸送能力が不足してしまうことが懸念されています。
関連記事:改善基準告示とは?2024年4月からの適用内容や、物流業界への影響と対策を解説
食品物流は、鮮度維持のためにリードタイムの削減や業務効率化が求められますが、食品の品質を保持しながらこの問題に対応していくことは大きな課題です。例えば、これまで当日・翌日配送が可能であったものが、リードタイムの長期化により対応できなくなる可能性や、遠隔地からの新鮮な食材の提供が難しくなることが考えられます。
トラック輸送は環境負荷の低減が求められており、多頻度輸送が特徴の食品物流においては、輸送頻度を減らすなどの対策が必要です。企業はより環境負荷の少ない輸送手段への転換(モーダルシフト)や、配送ルートの最適化、省エネルギー車両の導入などを検討する必要があります。
関連記事:配送ルート最適化とは?AIによる効率化とコスト削減で物流の課題を解決
物流工程での温度管理の不徹底などにより、商品に異常をきたしてしまった場合は、販売できなくなることがあります。
また、商品の見た目には異常が認められなくても、品質劣化が懸念されるときは、販売期間を短縮せざるを得ない場合もあり、結果として食品ロスにつながる可能性があります。日本国内では年間約600万トンもの食品ロスが発生しており、食品物流においても、常に食品ロスを回避する意識を持つ必要があります。
参考:食品ロス削減ガイドブック|消費者庁
食品の安全性や信頼性を高めるために、生産地から消費者に届くまでの移動経路を追跡可能にする『トレーサビリティ』の確立が求められています。これにはサプライチェーン全体での情報共有と連携が不可欠であり、食品物流もこの重要な一環を担う必要があります。最新技術であるブロックチェーン技術の活用も、トレーサビリティの向上に貢献すると期待されています。
その他、手作業による積み下ろし作業の多さ、長距離輸送の必要性、納品時間の集中によるトラックの拘束時間の長さなども、食品物流において厳格な温度管理や衛生管理を実現するために考慮すべき点として挙げられます。
これまで触れてきたとおり、食品物流では品質保持と安全性確保が何よりも重要です。特に温度管理による品質維持、配送タイミングの厳密な管理、コスト最適化、衛生基準の遵守、商品追跡の徹底など、多岐にわたる要素を適切に管理する必要があります。
これらの要素を統合的に管理することで、安全で効率的な食品物流を実現することができます。
食品の品質を維持するために、適切な温度帯での管理は不可欠です。常温、冷蔵、冷凍の3温度帯に対応した輸送・保管体制の構築と、温度逸脱を防ぐための厳格な管理が求められます。温度管理が徹底されなかった場合、食品の品質劣化や細菌の繁殖、食品ロスに直結するため、サプライチェーン全体での温度管理(コールドチェーン)の構築が重要です。
普段目にするとおり食品には賞味期限や消費期限が設定されており、厳密な日付・時間管理が求められます。入庫から保管、ピッキング、配送に至るまで、先入れ先出し(FIFO)を徹底し、期限切れの食品が流通しないように管理する必要があります。
また、それ以前のステップである、受注から納品までのリードタイムの短縮も重要な要素です。
食品の単価は比較的低い傾向にあるため、物流コストの最適化は重要な経営課題です。効率的な配送ルートの計画、倉庫運用の効率化、IT技術の活用などが、コスト削減には不可欠です。
食品は消費者の口に入るものであるため、物流プロセス全体を通して高いレベルの衛生管理が求められます。倉庫や配送車両の清掃・消毒の徹底、作業者の衛生教育、適切な包装などが重要です。
前述の通り、食品の移動履歴を追跡できるトレーサビリティシステムは、安全性と信頼性の確保に不可欠です。ロット番号管理や入出荷記録の正確な管理、情報共有システムの導入などが重要となります。
多品種小ロット・多頻度輸送への対応、顧客ニーズに合わせた柔軟な配送体制の構築、情報システムの活用なども、食品物流における重要な考慮すべき事項です。
食品物流の未来は、先進テクノロジーの活用によって大きく変革しようとしています。自動化技術による作業効率化、AIやIoTを活用した高度な管理システム、サプライチェーン全体の透明性向上など、デジタル技術の導入が進んでいます。これらの技術革新により、より安全で効率的なスマート物流の実現が期待されています。
労働力不足が深刻化する物流業界において、食品物流分野においても倉庫内作業や配送業務の自動化・省人化が急速に進展すると予想されます。自動倉庫システムは、コンピュータ制御による在庫管理と入出庫作業の自動化を実現し、ヒューマンエラーの削減と作業効率の大幅な向上をもたらします。AGV(無人搬送車)や自動搬送ロボットは、倉庫内での荷物の移動やピッキング作業を代替し、人手不足の解消と作業負荷の軽減に貢献します。
さらに、ドローンや自動運転トラックによる配送の実用化も進められており、ラストワンマイル問題の解決や幹線輸送の効率化が期待されます。これらの技術導入は作業効率の向上だけでなく、コスト削減、作業環境の安全性向上、そして24時間稼働によるリードタイム短縮にも繋がる重要な要素です。
AIとIoTの活用は、食品物流の精度と効率を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。AIを活用することで、過去のデータや天候、市場トレンドなどを分析し、高精度な需要予測が可能になり、過剰在庫や欠品のリスクを低減し、食品ロスの削減に貢献します。
また、リアルタイムの交通状況や車両情報、配送先の制約条件などを考慮し、最適な配送ルートや配車計画を自動で算出することもできます。これにより配送時間の短縮、燃料コストの削減、ドライバーの負担軽減が実現します。
一方、IoTセンサーは輸送中や保管中の食品の温度、湿度、衝撃などをリアルタイムで監視し記録することにより、温度逸脱などの異常を早期に検知し、品質劣化を防ぐことが可能となります。収集されたデータは、品質管理のトレーサビリティ向上にも役立ち、食品の安全性確保に不可欠な技術となっています。
食品の安全性と信頼性に対する消費者の関心が高まる中、サプライチェーン全体の透明性を確保する「可視化」が極めて重要になっています。特に注目されているのがブロックチェーン技術です。ブロックチェーンは、取引記録や製品情報を改ざん困難な形で記録し、サプライチェーンに関わる複数の参加者間で共有できる分散型台帳技術です。これを食品物流に応用することで、生産地、加工、輸送、保管、販売といった各段階の情報を正確かつ透明性の高い形で記録・追跡することが可能になります。
これにより、産地偽装や不正表示といった食品偽装のリスクを低減できるほか、万が一、品質問題が発生した場合でも、原因究明や対象製品の特定、迅速なリコール対応が可能となります。ブロックチェーン技術の導入は、コストや標準化の課題もありますが 、食品トレーサビリティを飛躍的に向上させ、消費者からの信頼獲得とブランド価値向上に貢献する技術として期待されています。
スマート物流とは、IoT、AI、GPSなどのデジタル技術を活用し、収集された膨大なデータを分析・活用することで、物流プロセス全体の最適化を目指す概念です。個別の業務効率化にとどまらず、サプライチェーン全体を俯瞰し、データに基づいた客観的かつ戦略的な意思決定を下す取り組みとも言えます。
例えば、IoTセンサーから得られるリアルタイムの温度・位置情報、AIによる高精度な需要予測、GPSによる車両追跡データなどを統合的に分析することで、在庫の最適化、配送ルートの動的な変更、輸送モードの最適な選択などが可能となります。
これによりリードタイムの短縮、輸送コストの削減、CO2排出量の削減、さらには食品ロスの削減といった多岐にわたる効果が期待されます。スマート物流の推進は、食品物流を持続可能で、より効率的かつ経済的なものへと進化させるための重要な方向性を示しています。
前述の食品物流における様々な課題に対し、パナソニック カーエレクトロニクスのサービス『DRIVEBOSS(ドライブボス)』は以下のような機能により解決のためのサポートが可能です。
『DRIVEBOSS(ドライブボス)』はAI技術により、配送時間や積載量などの制約条件を考慮し、複数台の車両による配車計画を自動作成します。配車計画作成のために要する時間を大幅に削減し、ドライバー一人当たりの配送所要時間も短縮することが可能です。2024年問題おける輸送能力不足への対応策として有効です。
スマートフォンとの連携により、輸配送計画のダウンロードやルート案内、業務実績の記録がスムーズに行えます。管理者はリアルタイムで車両の位置や配送状況を把握できるため、遅延やトラブル発生時にも迅速に対応できます。
運転評価データを活用し、ドライバーごとの急加速、急ブレーキ、速度超過などの運転状況を自動で評価・集約し、安全運転指導に役立てることができます。安全運転は事故の削減、車両のメンテナンスコストの低減、ひいては保険料の抑制にもつながります。
各訪問先での所要時間を自動的に集計し、配送中の走行軌跡が詳細に記録されるため、正確な日報の自動作成ができます。手書きによる作成の手間を省くことができ、業務の効率化につながります。さらに、活動情報だけでなく、急加速・急ブレーキなどの運転データに基づいた安全運転評価も日報に記載されます。
食品物流において、『DRIVEBOSS(ドライブボス)』を導入いただき課題解決につながった事例をご紹介します。
丸宮食品株式会社様では、日報作成に課題を抱えていました。作成に30分かかり、手書きのため正確性にも欠けることが問題視されていました。『DRIVEBOSS(ドライブボス)』導入後は、日報の作成時間を限りなくゼロにすることができました。
詳しくは以下のページをご覧ください。
丸宮食品株式会社 様 │ 【商社】日報の作成時間をゼロに! DRIVEBOSS | Panasonic
食品物流は、その特性上、温度管理、日付・時間管理、衛生管理など、多岐にわたる厳格な管理が求められる複雑な領域です。近年では、2024年問題をはじめとする労働力不足、コスト上昇、環境負荷低減、食品ロス削減といった課題が深刻化しており、物流業界にとってこれらの課題への対応は喫緊の経営課題となっています。このような状況下において、AIやIoT、自動化技術といったテクノロジーの活用は、食品物流の効率化、品質維持、そして持続可能性を実現するための鍵となります。特に、配送ルートの最適化、リアルタイムな運行管理、安全運転支援、業務報告の自動化などを可能にするシステムは、現場の負担軽減と生産性向上に大きく貢献するでしょう。
当社の『DRIVEBOSS(ドライブボス)』は、まさにこれらの課題解決に貢献するソリューションの一つです。AIによる効率的な配車計画、リアルタイムでの運行状況の可視化、運転評価機能による安全意識向上、自動日報作成による業務効率化は、食品物流が直面する多くの課題解決をサポートします。
この機会にぜひ『DRIVEBOSS(ドライブボス)』の詳細をご確認いただき、自社の物流オペレーションへの導入をご検討いただくことをお勧めします。
気になることがございましたら、お気軽にお問い合わせください。専門スタッフがご対応いたします。
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