
デイサービスの送迎範囲はどこまで?介護事業者が押さえるべき法律知識
介護の業務効率化とは?厚労省「7つの視点」による業務改善と送迎DXで実現する働き方改革
※本記事は2025年12月12日時点の情報を元にして作成されています。
通所介護施設において、送迎業務は全体の約30%を占めています。この数字が示すのは、送迎業務が現場を圧迫するボトルネックだという事実です。2025年、団塊の世代がすべて後期高齢者となり、介護ニーズが爆発的に増加しています。一方で、それを支える労働力人口は減少の一途をたどっています。
もはや、現場スタッフの「献身」や「努力」だけに頼った運営は限界です。求められているのは、業務プロセスそのものを見直し、テクノロジーを活用してムリ・ムダを排除する「構造的な業務効率化」にほかなりません。
本記事では、厚生労働省のガイドラインを紐解きながら、まず現場で取り組むべき主要なICT施策について触れます。さらに、現場負担の約3割を占めるとされる「送迎業務」の改革について、具体的な解決策を解説します。
目次
介護業界を取り巻く環境は、かつてないほど厳しさを増しています。人材不足、現場の疲弊、そして事業継続への不安といった課題に対し、「業務効率化」はもはや選択肢ではなく、生き残るための必須条件となっています。
介護業界における有効求人倍率は約3.9倍と、全産業平均(約1.2倍)の約3倍以上で推移しており、採用難は常態化しています。
参考:一般職業紹介状況(令和7年10月分)について|厚生労働省
参考:参考統計表|厚生労働省
2040年に向けて現役世代が急減する日本において、「人が足りなければ採用すればいい」という従来の解決策は、もはや通用しません。
こうした状況下では、限られた人員リソースで最大限の成果を生み出す「生産性の向上」が、経営上の重要課題となっています。単に人を増やすのではなく、一人ひとりの職員がより高い付加価値を生み出せる業務体制を構築することが求められています。
また、特定の人材の経験や記憶に依存した運営は、災害時や急な欠勤時に業務が停止するリスクをはらんでいます。BCP(事業継続計画)の観点からも、属人的なオペレーションからの脱却は急務です。
現場では「効率化」という言葉に対し、「利用者様へのケアを削るのか」「手抜きではないか」というアレルギー反応が起きることがあります。しかし、真の業務効率化とはケアの時間を削ることではありません。
記録作成、申し送り、移動、物品の探索といった「直接ケア以外の周辺業務」を徹底的に削減する。それによって生まれた時間を「利用者様と向き合う時間」に再投資する。これこそが本来の目的です。
業務効率化は、職員のワークライフバランス改善と利用者満足度の向上を同時に実現する「ケアの質向上のための手段」なのです。
業務効率化を進めるにあたり指針となるのが、厚生労働省が策定した「介護サービス事業所における生産性向上に資するガイドライン」です。
参考:介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版|厚生労働省
このガイドラインでは、改善すべき領域を以下の7つに整理しています。これらを包括的に見直すことで、初めて現場の景色が変わります。
| 改革の視点 | 具体的なアクションと目的 |
|---|---|
| 1.職場環境の整備 | 「探す時間」をゼロにする ・5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を徹底し、物品の定位置化によって「探す時間」を削減する。 ・動線の見直しやレイアウト変更などの物理的な環境改善により、移動のムダを排除する。 |
| 2.業務の明確化と役割分担 | 専門職がケアに集中する ・専門職(直接的なケア)と周辺業務(間接的業務)を明確に切り分け、介護助手やロボット等へ移譲するタスクシェアリングを実施する。 ・清掃や配膳などのノンコア業務を切り離すことで、専門職が本来のケアに集中できる環境を整える。 |
| 3.手順書の作成 | サービスの質を均一にする ・「あの人でないと分からない」という属人化を防ぐため、手順書(マニュアル)や動画マニュアルを整備する。 ・業務の標準化により、新人職員や代替職員でも一定の品質でサービスを提供可能にする。 |
| 4.記録・報告様式の工夫 | 書く時間を減らす ・チェックリスト方式の採用や、ICT活用によるペーパーレス化を進め、文書作成時間を圧縮する。 ・情報の読み解きを容易にし、本来の目的(ケアへの活用)に沿った記録体制を構築する。 |
| 5.情報共有の工夫 | 「言った言わない」をなくす ・インカムやチャットツールを活用し、リアルタイムでの情報連携を実現する。 ・申し送りの時間を短縮し、「言った言わない」のトラブルを未然に防ぐ。 |
| 6.OJTの仕組みづくり | 人が育つ環境を作る ・指導方法を統一し、新人職員が早期に戦力化できる教育プログラムを整備する。 ・「先輩によって教え方が違う」という混乱を防ぎ、定着率を向上させる。 |
| 7.理念・行動指針の徹底 | 判断の軸を持つ ・マニュアルでは対応しきれないイレギュラーな事態において、職員が自律的に判断できる軸を持つ。 ・組織としての価値観を共有し、チーム全体で同じ方向を向いてケアに取り組む。 |
前述の7つの視点を踏まえ、多くの施設で導入が進んでいる「施設内(フロア業務)」における3大ICT施策について解説します。これらはすでに業界標準となりつつあり、未導入であれば優先的に検討すべき領域です。
手書きの記録は、「転記の手間」「保管場所の確保」「情報の検索性の低さ」という三重苦を生みます。介護ソフト(介護記録システム)を導入し、タブレットやスマホでその場で入力できる環境を整えれば、記録時間は大幅に短縮されます。
厚生労働省のICT導入支援事業の報告によれば、ICT導入事業所の約8割が「文書作成の時間が短くなった」と回答しています。
また、手書きによる「転記ミス」や「判読不能」な記録のリスクを排除でき、コンプライアンスの強化にもつながります。情報の検索性が向上することで、過去の記録参照や家族への報告もスムーズになります。
さらに、記録データがそのまま請求データ(レセプト)に連動するシステムであれば、月末の請求業務の負担も劇的に軽減されます。
夜勤職員にとって大きな負担である「夜間巡視」や「定時巡回」も、見守りセンサー(ベッドセンサーやカメラ)の導入で効率化が可能です。
利用者の起床や離床を検知して端末に通知するシステムを活用すれば、不要な訪室を減らせます。利用者の睡眠を妨げることなく、夜勤職員の精神的・身体的負担を軽減し、少人数体制でも安全なケアを提供できる体制を構築できます。
また、事故発生時の状況把握や、転倒リスクの予兆検知にも有効であり、事後対応だけでなく予防的なケアにも活用できます。
広い施設内での職員探しや、申し送りのための移動時間は「見えないムダ」です。インカム(トランシーバーアプリ)を導入すれば、ハンズフリーで全員に一斉連絡が可能になります。
「お風呂介助終わりました」「○○さん、エントランスに来ています」といった連携がスムーズになり、ナースコールの対応速度向上など、サービス品質の向上にも直結します。
さらに、申し送りの時間を短縮し、情報伝達の漏れや遅延を防ぐ効果も期待できます。
フロア業務のICT化が進んでいても、多くの施設で「手つかず」のまま残されている巨大なボトルネックがあります。それが「送迎業務」です。
経済産業省の調査によると、通所介護において送迎およびそれに付随する業務は、全体の業務時間の「約3割」を占めるとされています。
参考:将来の介護需要に即した介護サービス提供に関する研究会|経済産業省
朝と夕方の限られた時間に集中するこの業務は、職員にとって大きなプレッシャーとなっています。
天候や交通状況に左右されやすく、計画通りに進まないことも多く、そうした不確実性がストレス要因となっています。
また、送迎の遅延は他の業務(記録や入浴介助など)へのしわ寄せを生みやすく、残業発生の主因にもなっています。
送迎業務には、2つの大きな属人化(ブラックボックス化)が存在します。
一つは「計画作成の属人化」です。利用者の居住地、身体状況、利用者同士の相性、希望時間などを考慮してルートを組む作業は、複雑なパズルのようなものです。多くの施設では、土地勘のある特定のベテラン職員が、長年の経験と勘を頼りに時間をかけて作成しています。「その人が休むと業務が回らない」という事態に陥っている施設も珍しくありません。
もう一つは「運転業務の属人化」です。複雑な道や利用者の自宅位置を暗記している職員しか送迎に出られず、新人職員が戦力化するまでに長い時間を要しています。
送迎業務の課題をテクノロジーで解決するのが、パナソニック カーエレクトロニクスの送迎計画自動作成システム『DRIVEBOSS(ドライブボス)』です。
このソリューションは、厚生労働省が推奨する「7つの視点」における具体的なアクションの実現をサポートします。以下、各機能を詳しく見ていきましょう。
『DRIVEBOSS(ドライブボス)』の最大の特徴は、AIによる送迎計画の自動作成機能です。利用者の住所や条件(車椅子利用の有無、同乗不可など)を事前に登録しておけば、ボタン一つで最適なルートと車両割り当てを提案してくれます。
これにより、ベテラン職員が数時間かけて行っていたパズル解きのような作業が、経験の浅い職員でも短時間で完了できるようになります。計画作成にかかる時間を大幅に短縮できるため、空いた時間を他の業務や休憩に充てることも可能です。
さらに、属人化が解消されることで、担当者の急な不在にも柔軟に対応できる組織体制が構築されます。
この機能は、7つの視点のうち「業務の明確化と役割分担」と「手順書の作成」に該当します。
作成された計画はドライバーのスマートフォンと連携します。ドライバーは画面の案内に従うだけで、迷うことなく利用者の自宅へ到着できます。
「道を覚えなくていい」という環境により、道に迷う不安や到着遅延のリスクが低減され、ドライバーの心理的負担が軽減されます。新人職員は早期に独り立ちでき、ベテラン職員も安心して運転に集中できます。
また、送迎時の注意事項(「家の前の道が狭い」など)も画面上で確認できるため、誰が運転しても同じ品質のサービスを提供でき、サービスの質を均一化できます。
この機能は、7つの視点のうち「OJTの仕組みづくり」に該当します。
車両の急ブレーキや急発進などを検知するテレマティクス機能により、客観的なデータに基づいた安全運転指導が可能になります。事故リスクの低減は、車両保険料の抑制や社会的信用の維持にもつながります。
また、GPSによる走行実績から日報が自動作成されるため、運転後の事務作業からも解放されます。正確な送迎記録が自動で残るため、介護報酬請求(送迎加算)におけるエビデンスとしても活用できます。
この機能は、7つの視点のうち「記録・報告様式の工夫」に該当します。
さらに、『DRIVEBOSS』は介護記録ソフト『ケアカルテ(CAREKARTE)』とのデータ連携も可能です。利用者の基本情報や送迎実績をシステム間で共有することで、二重入力の手間を省けます。
「記録業務の効率化」と「送迎業務の効率化」をシームレスにつなぐことができ、送迎のみの部分的な効率化にとどまらず、施設全体の業務フローを最適化する基盤が構築されます。
また、デジタル化による情報の正確性が担保されることで、ヒューマンエラーによるミスを防止できます。
この機能は、7つの視点のうち「情報共有の工夫」に該当します。
実際に『DRIVEBOSS(ドライブボス)』を導入し、業務効率化に成功した事業所の事例を紹介します。
・導入前の課題:
同法人では、送迎計画の作成がほぼ一人の職員に集中し、業務が属人化していました。送迎業務は利用者の自宅を覚える必要があり、負担に感じる職員も少なくありませんでした。
また、利用者の増減により、気づかないうちに非効率なルートで運行していることもあり、業務時間全体の2〜3割を占める送迎業務の効率化が大きな課題となっていました。
・導入後の効果:
『DRIVEBOSS(ドライブボス)』の導入で、これまで1名で行っていた計画作成が4名で対応可能になり、業務の属人化が解消されました。
スマートフォンのルート案内機能があるため、経験の浅い職員でも安心して送迎業務にあたることができ、「自分にもできそう」と入社を決めた新しい職員も現れました。
今後は、従来3ヶ月から半年かかっていた独り立ちまでの期間を1〜2ヶ月に短縮することを目指しています。職員が安心して働ける環境は、人材の採用や定着、さらにはサービス品質の向上にも繋がっています。
詳しくは以下のページをご覧ください。
社会福祉法人貞徳会 様 │ 属人化の解消と職員の採用の理由に!送迎システムのドライブボス
・導入前の課題
送迎計画の作成に多くの時間を要するだけでなく、「お迎え・お送り忘れ」や「利用時間の間違い」といった、利用者に直接迷惑がかかる送迎ミスが頻発していました。
特に、全利用者の情報を把握しきれていない新人職員にとっては、ミスなく計画を作成することが大きな負担となっていました。
・導入後の効果
利用者と車両の情報を事前に登録することで、システムが正確な送迎計画を自動で作成するようになり、計画作成段階での人為的なミスがゼロになりました。
これにより、経験の浅い職員でも短時間で正確な計画を作成できるようになり、送迎トラブルを未然に防ぐ体制が構築されました。結果として、職員の残業時間は1日1時間以上削減され、創出された時間を休憩や利用者と向き合う時間に充てられるようになり、サービスの質の向上にもつながっています。
詳しくは以下のページをご覧ください。
介護老人保健施設シルバーケア野崎 様 │ ミスがなくなり残業の削減に成功!送迎システムのドライブボス
・導入前の課題
送迎計画作成がホワイトボードで行われており、決まった担当者にしか計画を作成できず、業務が完全に属人化していました。担当者が休むと誰も計画を作れないという状態で、「誰か1人にしかできない業務」があることを問題として認識していました。
・導入後の効果
利用者情報を事前登録することで、送迎計画作成の経験がない職員でも、1クリックで自身が考えるベストに近い計画を作成できるようになりました。計画コピー機能を使えば、欠席や振替利用の差分修正も簡単で、属人化が解消されました。
詳しくは以下のページをご覧ください。
神戸中央福祉会 塩屋さくら苑 様 │ 送迎計画作成者が増えて属人化解消 送迎システムのドライブボス
ツールを導入するだけでは、業務は変わりません。現場に定着させるためのステップが重要です。
まずは送迎にかかっている時間、残業時間、ヒヤリハット件数などを数値化し、課題を客観的に把握します。「なんとなく大変」ではなく、データで現状を示すことで、経営層・現場双方の納得感が得られます。
そのうえで、システム導入の目的が「管理強化」ではなく「職員を守るため」であることを現場に伝え、共感を得ることが重要です。
また、プロジェクトチームを組成し、現場のキーマン(リーダーやベテラン運転手)を巻き込むことで、導入後のスムーズな運用につながります。
利用者の住所、留意事項、車両情報などのマスターデータを正確に登録することが、AI精度の鍵となります。初期登録には一時的に労力がかかりますが、ここを丁寧に行うことが後の自動化成功を左右します。
また、運用ルール(誰がいつ計画を作成するか、急な変更時の対応フローなど)を事前に定めておくことで、導入後の混乱を防げます。
いきなり全車両・全曜日で切り替えるのではなく、特定のルートや曜日で試験運用(パイロット運用)を行います。不具合や現場の戸惑いを抽出・解消しながら、徐々に運用範囲を拡大していくことで、リスクを最小限に抑えられます。
操作に慣れる期間を設けることで、職員の心理的ハードルも下がります。
「残業がこれだけ減った」「新人が早く育った」といった成功体験(Quick Win)を共有し、職員のモチベーションを高めます。小さな成果でも可視化して伝えることが、現場の協力を持続させるポイントです。
定期的に運用状況をレビューし、現場の意見を取り入れながら設定やルールを微調整し続けること(PDCA)も欠かせません。効果を経営層へ報告することで、さらなる投資や職員への還元にもつなげられます。
介護現場における業務効率化は、決して冷たい合理化ではありません。ムダな業務を省き、職員が心身ともに健康で働ける環境を作ることは、利用者様への温かいケアを持続するための土台となります。
とりわけ送迎業務のDXは、残業削減、事故防止、採用力強化という複数の経営課題を同時に解決できる、投資対効果の高い施策です。
この機会にぜひ『DRIVEBOSS(ドライブボス)』の詳細をご確認いただき、デイサービスの送迎業務への導入をご検討いただくことをお勧めします。
気になることがございましたら、お気軽にお問い合わせください。専門スタッフがご対応いたします。
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