
デイサービスの送迎トラブル5つの原因と明日からできる防止策
デイサービスの送迎事故はなぜ起こる?「怖い」をなくす組織的な対策とは
※本記事は2025年9月12日時点の情報を元にして作成されています。
デイサービスの送迎業務に「怖い」と感じることは運転技術だけの問題ではなく、複雑な業務内容や利用者の命を預かる重圧から生まれる感情です。さらに、介護業界の構造が抱える課題でもあるため、個人の努力だけで解決するのは困難です。
本記事では、この送迎業務に潜む「怖さ」に対して個人に依存するのではなく、組織全体で課題を解決するための具体的な方法を解説していきます。
目次
送迎業務への恐怖心は、漠然とした不安ではありません。日々の業務に潜む具体的なリスクとプレッシャーに対する、現場からの合理的な反応と言えます。
この感情を分解し、原因を明らかにすることが解決への第一歩となります。
デイサービスの送迎では、車を運転する技術以上のスキルが求められます。普段使わないような大型車両は、車幅感覚や内輪差が自家用車とは大きく異なります。
さらに、利用者宅周辺の道路は狭く、駐車スペースが限られている場合も少なくありません。
こうした運転の難しさに加えて、決められた時間内に複数の利用者を送迎しなければならない時間的な制約もあります。焦りは安全運転の最大の敵であり、急発進や急ブレーキは利用者の不安や身体への負担に直結します。
運転技術とは別に、これらの複合的な要因がドライバーに重くのしかかっているのです。
送迎業務における事故は、車両同士の接触だけではありません。乗降時の転倒・転落事故も多く報告されており、ドアや車いすに身体の一部を挟んでしまう事故も発生しています。常に細心の注意が必要です。
中でも最も深刻なリスクの一つが、利用者の車内への置き去りです。これは利用者の生命に直接関わる重大事故であり、事業所の信頼を根底から揺るがします。
また、他車からの追突のような「もらい事故」であっても、その後の利用者の体調変化によっては、事業所が重い責任を問われることもあります。送迎業務は常に「ミス」が許されない、極めて重い責任を伴う業務なのです。
デイサービスの送迎は、単に利用者を自宅と施設へ 運ぶ単純作業ではありません。どの順番でお迎えに上がるかというルート設定はもちろん、車いすの要否、利用者のその日の体調、さらには利用者同士の人間関係まで考慮しなければならない、極めて複雑な業務です。
相性の悪い利用者同士を隣の席にしてしまえば、車内の雰囲気が悪化し、クレームにつながる可能性があります。乗り降りに特別な配慮が必要な方の順番を間違えれば、事故のリスクが高まります。こうした「もしも」を常に想定し、「間違えられない」というプレッシャーが、ドライバーに重くのしかかっているのです。
この複雑な業務は、地域の地理や利用者の詳細を熟知したベテラン職員の頭の中にしかないことが多く、「属人化」しがちです。その結果、経験の浅いドライバーは複雑な指示を間違いなく実行できるかという不安を常に抱えることになります。
このミスの許されない複雑な業務プロセスに 膨大な時間を要し、職員の長時間労働の一因となっているのです。
現場で感じる「怖さ」やプレッシャーは、事業所内部の問題だけが原因ではありません。介護業界全体が直面するマクロな課題が、現場の負担をさらに増幅させています。
介護業界は「2025年問題」という大きな構造的課題に直面しています。これは、人口の多い「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者に達することで、介護サービスの需要が急増する社会問題です。
75歳以上になると要介護認定率が大幅に高まるため、介護ニーズは爆発的に増加します。しかし、それを支える介護人材の確保が追いついていません。厚生労働省の推計では、2026年度には約25万人もの介護職員が不足すると見込まれており、これは介護現場にとって極めて深刻な事態です。
参考:介護人材確保の現状について|厚生労働省
この慢性的な人材不足により、介護サービスの供給が需要に追いつかず、必要な介護を受けられない「介護難民」が生まれるリスクが高まっています。限られた人員で増え続ける需要に対応しなければならないというプレッシャーは、現場の職員一人ひとりに重くのしかかっています。
慢性的な人材不足は、職員一人あたりの業務量を増加させ、心身の疲労も蓄積してしまいます。特に送迎業務においては、この負担増が安全品質の低下に直結する危険性があります。
例えば、時間に追われる中で、運行前の車両点検や降車後の車内最終確認といった基本的な安全手順がおろそかになってしまう可能性があります。このような小さな見落としが、重大な事故につながりかねません。
この状況は、危険な負のスパイラルを生み出します。
人材不足が業務負担を増やし、それがヒューマンエラーのリスクを高める。事故を起こさないようにすることや、ヒヤリハットなども増えることにより、 職員の精神的ストレス はさらに増大 。結果、離職となることでさらなる人材不足を招くのです。
かつてはベテラン職員の経験と努力でカバーできていた非効率な業務も、人材が流動化する現代においては事業継続を脅かす経営リスクそのものになっています。
送迎業務の「怖さ」を根本的に解消するには、個人の注意力を高めるだけでは不十分です。必要なのは、業務の仕組みそのものを見直し、誰が担当しても一定の安全と効率が担保される強固なシステムを構築することです。
送迎計画の「属人化」から脱却するために、まず取り組むべきは業務の標準化です。送迎の手順や安全確認の項目を明文化したマニュアルを作成し、全職員が同じ手順で業務を遂行できるようにすることが重要です。
これにより、経験の浅い職員でも安心して業務にあたることができ、サービスの品質を一定に保てます。標準化は、属人化というリスクを組織から取り除くための第一歩です。
安全運転は、精神論だけでは徹底できません。ドライブレコーダーや送迎管理システムを導入し、運転状況を客観的なデータとして「見える化」することが有効です。急ブレーキや急ハンドルの回数といったデータに基づけば、個人の運転のクセを客観的に把握し、具体的な改善指導につなげることができます。
感情的な叱責ではなく建設的なフィードバックを可能にし、罰則ではなく教育を主体とした安全文化を醸成します。また、工事中の道路や危険な交差点といったヒヤリハット情報を組織全体で共有する仕組みも、全ドライバーの危険予知能力を高める上で効果的です。
業務効率化の真の目的は、負担軽減 だけではありません。それは、職員が本来の専門性を発揮するための「時間を創出する」ことにあります。送迎計画の作成や運転日報の記入といった間接業務にかかる時間を1分でも短縮できれば、その時間をそのまま利用者とのコミュニケーションやケアの質の向上に活用できます。
業務効率化は単なる作業の短縮ではなく、職員の負担を軽減すると同時に利用者満足度の向上にも直結する、介護サービスの価値そのものを高めるための重要な戦略となります。
「標準化」「見える化」「効率化」という3つの改革を、一つのソリューションで実現するのが、パナソニック カーエレクトロニクスの送迎支援サービス『DRIVEBOSS』です。ここでは、その具体的な機能が現場の課題をいかに解決するかを解説します。
作成した計画 は、 スマートフォンアプリを通じてリアルタイムに案内されます。これにより、土地勘のない道や初めて訪れる利用者宅であっても、道に迷う不安から解放され、安心して運転に集中することができます。
送迎中に 手書きしていた送迎実績の記録 も、『DRIVEBOSS』が自動化します。走行記録が自動で保存されるため、ドライバーは煩雑な事務作業から解放され、心身の負担が大きく軽減されます。さらに危険運転の自動検知機能により、データに基づく客観的な指導を強力にサポートします。急ブレーキなどを検知・記録することで、管理者は感情論ではない的確なフィードバックを行えるようになり、事業所全体の安全運転意識を高め、事故を未然に防ぐ体制を構築できます。
当日の急な利用キャンセルや、家族からの「あとどれくらいで着きますか?」といった問い合わせは、現場の混乱と焦りを生む一因です。『DRIVEBOSS』は、各送迎車の位置情報をリアルタイムで地図上に表示するため、事務所にいながら全車両の状況を正確に把握できます。
また、スマートフォンアプリを通じて事務所とドライバーが連携できるため、ルートの変更指示や緊急連絡もスムーズに行えます。これにより、突発的な事態にも冷静かつ迅速に対応できるようになり、ドライバーと事務所スタッフ双方のストレスを軽減します。
多くの職員を悩ませてきた「難易度の高いパズル」であるとも言える、送迎計画の作成業務を、『DRIVEBOSS』はAIの力で解決します。
送迎できる車両、特定の利用者同士を同じ車両にしない(同乗NG)、車椅子の利用の有無や乗り降りに要する時間、車酔いのしやすさ などを事前に登録しておけば 、AIが最適な送迎ルートをわずか数分で自動作成します。
これにより、ベテラン職員が1時間以上かけていた作業が劇的に短縮されるだけでなく、業務の属人化が完全に解消されます。経験の浅い職員でも、誰でも質の高い送迎計画を作成できるようになるため、担当者の急な休みや異動にも慌てることなく対応でき、事業の継続性が格段に向上します。
『DRIVEBOSS』がもたらす変革は、理論上の話だけではありません。すでに全国の多くの介護事業所で導入され、具体的な成果を上げています。ここでは、現場の「怖い」を「安心」に変えた2つの事例をご紹介します。
・導入前の課題
送迎計画作成の負担や属人化に加え、複数の車で同じ利用者をお迎えに行ってしまったり、逆にお迎えを忘れてしまったりといったミスが課題となっていました。
・導入後の効果
特に大きな効果を発揮したのがスマートフォン連携機能です。スマホが送迎順に利用者宅までのルートを案内してくれるため、土地勘のない職員でも住所を都度入力する手間なくスムーズに送迎できるようになりました。これにより、ドライバーは道に迷う不安から解放され、純粋に「安全運転」に集中できる環境が整いました。
この変化は、送迎に苦手意識を持っていた人材が「これなら自分にもできるかもしれない」と感じ、新たに入社してくれるという、人材確保の面でも非常に大きな効果をもたらしています。
詳しくは以下のページをご覧ください。
株式会社桜十字 様 │ 送迎計画作成時間を半分に短縮!送迎システムのドライブボス
・導入前の課題
送迎計画作成が「職人技」のような業務で、各事業所でセンター長の補佐などキーマン的な職員が担当し、計画作成と実績入力に毎日2時間程度を要していました。新しい利用者の送迎や土地勘のない職員の送迎時には、事前に現地まで車を走らせて練習が必要でした。
・導入後の効果
相模大野センターでは送迎計画の作成時間を半分に短縮し、計画作成できる人数も4人にまで増加しました。
初めて訪問する利用者宅でもスマートフォン連携のルート案内機能で問題なく送迎できるようになり、業務プロセスが統一され、応援や異動があっても即戦力として業務にあたれるようになりました。
詳しくは以下のページをご覧ください。
ケアパートナー株式会社 様 │ 業務の標準化で異動者の即戦力化を実現!送迎システムのドライブボス
デイサービスの送迎業務に「怖い」と感じる気持ちは、現場で真摯に業務に向き合っているからこそ生まれる当然の感情です。その根本には、複雑な業務、重い責任、そして人材不足という業界全体の構造的な課題が存在します。
この根深い問題を解決する鍵は、個人の努力や精神論に頼ることではありません。それは、テクノロジーを活用し、誰もが安全かつ効率的に働ける「仕組み」を構築することです。
送迎支援サービス『DRIVEBOSS』は、AIによる計画作成の自動化、日報作成の負担軽減、そして安全運転のサポートといった機能を通じて、まさにその「仕組み」を提供します。
業務の属人化を解消し、創出された時間を本来のケア業務に充てることで、職員の負担を軽減するだけでなく、介護サービスの質をも向上させることができます。
この機会にぜひ『DRIVEBOSS(ドライブボス)』の詳細をご確認いただき、自社のデイサービスの送迎業務への導入をご検討いただくことをお勧めします。
気になることがございましたら、お気軽にお問い合わせください。専門スタッフがご対応いたします。
おすすめ記事
アーカイブ
カテゴリ