
介護DXで競争力を高める|業務効率化とサービス品質向上の両立を実現
デイサービスの送迎表、いつまでテンプレートに頼る?システム化で変わる現場の未来
※本記事は2025年10月17日時点の情報を元にして作成されています。
デイサービスの送迎表作成は、多くの事業所でエクセルなどのテンプレートを用いた手作業に頼っているのが現状です。
しかし、その手軽さの裏側には、運営効率や利用者満足度、職員の働きやすさを脅かす複雑な課題が潜んでいます。日々のルート調整や急な変更対応に追われ、その場しのぎの対策に終始してしまいがちです。
実際、ある調査によると4割以上の施設で送迎遅延が発生しており、利用者の信頼や職員のストレスに直結しています。
本記事では、テンプレートでの送迎表作成の限界を明らかにしていきながら、システムを活用した本質的な解決策について解説していきます。
目次
デイサービスの送迎表は、日々の送迎業務を円滑かつ安全に進めるための基盤となる帳票です。ここでは、送迎表が持つ本来の目的となぜ適切な管理が事業所運営において極めて重要なのかを解説します。
送迎表の主な目的は、送迎ルートや時間、車両、担当者といった情報を一元管理し、関係者全員が正確な状況を把握できるようにすることです。
これにより、ドライバーは迷うことなく効率的に利用者を送迎でき、管理者は全体のスケジュールを俯瞰して適切な人員配置を行えます。
また、利用者やその家族にとっても、送迎予定時間を知るための重要なツールとなります。質の高い送迎表を作成するためには、以下の項目を網羅することが推奨されます。
| 項目 | 内容 | 記載する理由 |
|---|---|---|
| 日付 | 送迎を実施する年月日を記載します。 | 記録管理の基本であり、過去の実績を振り返る際に不可欠です。 |
| 車両情報 | 車両の名称(例:ハイエース)やナンバーを記載します。 | どの車両がどのルートを担当しているかを明確にし、複数車両の管理を容易にします。 |
| 運転手・添乗者 | 運転手と添乗するスタッフの氏名をそれぞれ記載します。 | 業務の責任の所在を明確にし、緊急時の連絡体制を確立するためです。 |
| 利用者名 | 送迎対象となる利用者の氏名を記載します。 | 送迎ミスを防ぐための最も基本的な情報です。 |
| 住所・連絡先 | 利用者の住所と緊急時に連絡が取れる電話番号を記載します。 | 到着遅延の連絡や、不在時の確認など、円滑なコミュニケーションに必須です。 |
| 送迎順 | 利用者宅を訪問する順番を番号で示します。 | ドライバーがルートを直感的に理解し、効率的な運行を行うための指標です。 |
| 予定時刻 | 各利用者宅への到着予定時刻を記載します。 | 利用者や家族への事前告知、またドライバー自身の時間管理に役立ちます。 |
| 実績時刻 | 実際に到着した時刻や施設を出発・帰着した時刻を記載します。 | 予定との差異を把握し、次回の計画精度向上や介護報酬請求の根拠として重要です。 |
| キャンセル | 当日の利用キャンセルがあった場合にチェックを入れます。 | 送迎実績を正確に記録し、不要な訪問を防ぎます。 |
| 特記事項 | 車椅子の要否、介助レベル、駐車場所の指定などを記載します。 | ドライバーや添乗者が、利用者ごとに必要な配慮を確実に実施できるようにするためです。 |
| 全体備考 | その日の交通状況や車両の様子、特異な出来事などを記載します。 | ヒヤリハットの共有や、業務改善点の発見に繋がる重要な情報源となります。 |
送迎記の記入漏れや内容の誤りは、介護報酬の請求ミスに直結する可能性があります。
実際に、実地指導では送迎記録の不備や送迎減算の適用漏れが指摘されるケースがあり、送迎を行ったという実績を適切に証明できる記録の整備が求められています。
手作業での記録管理には、記入漏れや転記ミスといったヒューマンエラーが常に付きまとうため、意図せずともコンプライアンス上のリスクを抱えやすい構造になっています。
参考:平成30年度 実地指導結果の概要|江東区
送迎にかかる時間はサービス提供時間には含まれないものの、送迎サービス自体が適切に行われたことを証明する記録は、事業所の健全な運営に不可欠です。
さらに、正確な時刻管理と情報共有に基づいた安定した送迎サービスは、利用者や家族からの信頼を構築する土台となります。時間通りに迎えが来ること、遅れる際には事前に連絡があること。そうした当たり前の積み重ねが、事業所の信頼性を形作るのです。
つまり、送迎表の適切な作成と管理は、事業所の経営基盤と社会的信用を守るための、極めて重要なリスクマネジメントであるとも言えます。
多くの事業所で送迎表の作成が負担となっている背景には、単なる作業量の問題だけでなく、業務の仕組み自体に潜む本質的な課題が存在します。
特に、エクセルなどのテンプレートを元にした手作業での作成に依存している場合、その問題はより深刻です。
ここでは、現場の担当者が日々直面している困難を3つの側面に分解し、その本質に迫ります。
テンプレートを用いたとしても、送迎表作成、特にルート計画は、膨大な時間と精神的なエネルギーを消耗する業務です。
利用者の住所、希望時間、車椅子の有無、車両の定員やリフトの有無、利用者同士の相性といった無数の変動要素を、テンプレート上でパズルを解くように組み合わせなければならず、ルート作成に何時間もかかることも珍しくありません。
さらに、デイサービスの現場では、当日の急な利用キャンセルや利用日の変更依頼が頻繁に発生します。その度に、一度完成させたルート計画を根本から見直し、再構築する必要に迫られます。
調整作業が繰り返されるほど担当者には大きな精神的負担がかかり、本来であれば利用者のケアに使うべき時間が削られてしまいます。
エクセル等のテンプレートを元にした手作業での送迎ルート作成は、長年の経験と地域の地理情報に精通した特定のベテラン職員のスキルに依存しがちです。
このような「属人化」した状態は、一見すると効率的に見えますが、事業所運営における極めて大きなリスクをはらんでいます。
その担当者が急な病気で休んだり、退職してしまったりした場合、送迎業務全体が混乱し、最悪の場合は停止しかねません。ノウハウが個人の中に留まっているため、他の職員が簡単には引き継ぐことができず、サービスの質が著しく低下する恐れがあります。
また、新人の育成を困難にし、特定の職員への業務集中をさらに加速させるという悪循環を生み出します。
送迎業務がもたらすストレスは、職員の心身の健康と職場への定着率に深刻な影響を与える、見過ごすことのできない問題です。このストレスは複数の要因から成り立っています。
決められた時間内に複数の利用者を送迎しなければならないという絶え間ない焦り。
利用者の命を預かるという重責と、「もしも」の事態への恐怖。
普段乗り慣れない大型車両の運転に対する不安や苦手意識。
介護職員が送迎も担当する場合、運転とケアの両方に神経を使い、心身ともに疲弊してしまう状況。
これらの課題は独立した問題ではなく、相互に関連し合って事業所に悪影響を及ぼす『負のスパイラル』を形成しています。
まず、『手作業での複雑な計画作成』は、特定のベテラン職員に頼らざるを得ない『属人化』を引き起こします。また、急な変更への対応が遅れることで、現場ドライバーへの過度な時間的プレッシャーも生まれます。
そして、この属人化による業務の集中と、『日々の運転に伴う複合的なストレス』が、職員の燃え尽きや離職を招きます。
職員が辞めてしまうと、介護業界が抱える慢性的な人手不足はさらに深刻化し、残された職員への依存度がますます高まるという悪循環に陥ってしまうのです。この構造を断ち切らない限り、送迎表の問題は解決されません。
時間的負担、属人化、そして職員のストレスという根深い課題を根本から解決するためには、個人の努力や工夫に頼るのではなく、業務プロセスそのものを変革する「システムの力」が不可欠です。
送迎計画自動作成システムを導入することで、次の3つの効果がもたらされます。
AIなどを活用して、利用者の住所、希望時間、車両情報といった条件を基に、最適な送迎ルートを瞬時に自動作成します。
人間が何時間もかけて行っていた複雑な計算と調整作業を、送迎計画自動作成システムであればわずか数分で完了させることが可能です。
これにより創出された時間は、本来の業務である利用者へのケアや、サービスの質向上に向けた取り組みに振り向けることができます。
送迎計画自動作成システムにより、計画作成プロセスが標準化され、特定の個人の経験や勘に頼る『属人化』から脱却できます。
操作方法を覚えれば誰でも効率的な計画を作成できるため、担当者の急な不在や異動があっても、サービスの質を維持したまま業務を継続できます。
また、送迎実績や運転日報がデジタルデータとして自動で記録されるため、記入漏れや転記ミスといったヒューマンエラーを防ぎ、コンプライアンス上のリスクを大幅に軽減します。
送迎計画自動作成システムは日々の送迎における実際の走行時間や遅延状況といったデータを蓄積します。これらの客観的なデータを分析することで、
「どの車両がどのくらい稼働しているのか」「どの利用者の乗降に時間がかかりがちか」といった傾向を把握できます。
このデータに基づいた改善サイクルを回すことで、送迎業務を継続的に最適化し、より質の高いサービス提供へと繋げることが可能になります。
こうした変革を実現する具体的なソリューションとして、パナソニック カーエレクトロニクスでは送迎計画自動作成システム『DRIVEBOSS(ドライブボス)』を提供しています。
『DRIVEBOSS(ドライブボス)』は、デイサービスの現場が抱える課題を的確に解決するために設計された機能を備えています。
ワンクリックで送迎計画を自動作成できる機能により、担当者の負担を劇的に軽減します。利用者の条件や車両の種類などを考慮した最適なルートとスケジュールを瞬時に提示するため、繰り返される調整作業のような精神的な負担からも解放されます。
直感的で分かりやすい操作画面により、送迎計画作成が特別なスキルではなくなります。利用者の情報を事前に登録しておけば、新人職員や臨時職員でも、ベテランと同じ水準の効率的な計画を立てることが可能となり、業務の属人化を解消します。
事業所は特定の人材に依存する脆弱な体制から脱却し、安定した運営基盤を築くことができます。
ルート案内機能やリアルタイムでの車両位置把握機能が、不慣れな道を運転するドライバーの不安を和らげます。
また、運転日報などの帳票作成を自動化することで、送迎後の煩雑な事務作業を削減し、職員の残業時間短縮にも貢献します。
さらに、運転状況をデータで可視化する機能は、安全運転への意識向上を促し、事業所全体の安全文化を醸成します。
送迎計画自動作成システムの導入によりどのように課題が解決され、業務が改善されたのか、ここでは『DRIVEBOSS(ドライブボス)』を導入した事業所の実例を3つご紹介します。
・導入前の課題
全国219ヶ所(取材当時)の施設でデイサービスを展開する同社では、送迎計画の作成方法が各施設で異なり、手作業に多くの時間を費やしていました。
施設あたりの平均作成時間は1日30分に及び、その時間を本来のケアサービスに充てたいという課題がありました。
・導入後の効果
『DRIVEBOSS(ドライブボス)』の導入により、全施設の平均計画作成時間は1日あたり18分へと短縮。これは約40%もの時間削減に相当します。
削減できた時間は、利用者と向き合う時間を増やすなど、サービスの質の向上に直接繋がりました。
詳しくは以下のページをご覧ください。
株式会社SOYOKAZE 様 │ 【デイサービス】ITで送迎計画作成を効率化! DRIVEBOSS | Panasonic
・導入前の課題
同法人では、送迎計画の作成がほぼ一人の職員に集中し、業務が属人化していました。送迎業務は利用者の自宅を覚える必要があり、負担に感じる職員も少なくありませんでした。
また、利用者の増減により、気づかないうちに非効率なルートで運行していることもあり、業務時間全体の2〜3割を占める送迎業務の効率化が大きな課題となっていました。
・導入後の効果
『DRIVEBOSS(ドライブボス)』の導入で、これまで1名で行っていた計画作成が4名で対応可能になり、業務の属人化が解消されました。
スマートフォンのルート案内機能があるため、経験の浅い職員でも安心して送迎業務にあたることができ、「自分にもできそう」と入社を決めた新しい職員も現れました。
今後は、従来3ヶ月から半年かかっていた独り立ちまでの期間を1〜2ヶ月に短縮することを目指しています。職員が安心して働ける環境は、人材の採用や定着、さらにはサービス品質の向上にも繋がっています。
詳しくは以下のページをご覧ください。
社会福祉法人貞徳会 様 │ 属人化の解消と職員の採用の理由に!送迎システムのドライブボス
・導入前の課題
介護記録ソフトの機能を使って送迎計画を作成していましたが、手間や時間がかかる上に間違いが多発していました。使える車の台数や利用時間を間違えてしまうことが多く、お迎え・お送り忘れや利用時間の間違いなど、利用者様にご迷惑をかけるようなミスが発生していました。
・導入後の効果
『DRIVEBOSS(ドライブボス)』を導入したことで、事前に登録した利用者様と送迎車両の情報に基づいた正確な計画が作成できるようになり、計画作成時のミスがなくなりました。
その結果、残業を1日1時間以上減らすことに成功し、毎日20時頃まで残業になっていたのが18時半~19時頃には帰れるようになりました。利用者様の情報を全て覚えていない新人職員でもミスなく計画作成できる体制が整い、休憩時間もしっかり確保できるようになりました。
詳しくは以下のページをご覧ください。
介護老人保健施設シルバーケア野崎 様 │ ミスがなくなり残業の削減に成功!送迎システムのドライブボス
本記事では、デイサービスの送迎計画が事業所運営の根幹に関わる重要な要素であることを明らかにしてきました。送迎表の作成プロセスには、時間的な負担、業務の属人化、職員のストレスといった課題が存在し、これらは互いに連鎖して「負のスパイラル」を生み出します。
この問題を解決する鍵は、個人の頑張りやテンプレートの工夫ではなく、業務プロセスそのものを変えることにあります。
送迎計画自動作成システムを導入することで、日々の計画作成業務を手作業で「作る」ものから、テクノロジーに「任せる」ものへと転換できます。これにより事業所は貴重な人的資源を、本来最も注力すべき利用者一人ひとりへの質の高いケアへと配分することが可能になります。
この機会にぜひ『DRIVEBOSS(ドライブボス)』の詳細をご確認いただき、デイサービスの送迎業務への導入をご検討いただくことをお勧めします。
気になることがございましたら、お気軽にお問い合わせください。専門スタッフがご対応いたします。
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