
介護現場のICT活用による業務効率化のポイントとは? 導入事例から補助金情報まで解説
介護DXで競争力を高める|業務効率化とサービス品質向上の両立を実現
※本記事は2025年10月17日時点の情報を元にして作成されています。
介護業界が直面する人材不足や業務負担の増大は、多くの事業所にとって喫緊の経営課題です。この状況を打破する鍵として「介護DX」が注目されています。
介護DXとは、単なるITツールの導入ではありません。デジタル技術を活用して業務プロセス全体を変革し、職員が働きやすい環境と、利用者一人ひとりに寄り添った質の高いケアの両立を目指す取り組みです。
本記事では、介護DXの必要性から具体的な進め方、そして成功事例までを網羅的に解説します。
目次
介護現場では、複数の課題が複雑に絡み合い、日々のオペレーションに大きな負荷をかけています。例えば、人材不足により一人あたりの業務負担が増え、それが離職を招き、さらなる人材不足を生むという悪循環が生じています。
このように課題を個別に捉えるのではなく、連鎖する問題として理解することが、介護DXを成功させる第一歩となります。
介護業界は慢性的な人材不足に直面しており、2026年度には約25万人の介護職員が不足すると予測されています。
参考:介護人材確保に向けた取組について|厚生労働省
少ない人数で現場を運営せざるを得ない状況は、現役職員一人ひとりへの過大な業務負担に直結します。体力を要する身体介護に加え、介護記録や日報作成といった間接業務に多くの時間が割かれているのが実情です。
こうした業務負担の増大は職員の疲弊を招き、職場の人間関係の悪化や離職につながる一因となっています。この悪循環が、さらなる人材不足を引き起こしているのです。
多くの事業所では、経験豊富な職員のスキルや知識に依存した「属人化」業務が散見されます。複雑な調整を要する送迎計画の作成などはその典型例です。特定の職員しか対応できない状況は、担当者の不在時に業務が滞る事業継続上のリスクをはらみます。
また、個人の経験則に頼る運営は業務プロセスの標準化を妨げ、提供されるサービスの品質にばらつきを生じさせる一因となります。
質の高いケアを提供するためには、介護職員、看護師、ケアマネジャー、リハビリ専門職といった多職種間での円滑な情報共有が不可欠です。
しかし、紙媒体での記録や口頭での伝達が中心の現場では、情報の伝達にタイムラグが生じたり、誤った情報が伝わったりするリスクが常に存在します。必要な情報がリアルタイムで正確に共有されないことは、ケアの質を低下させるだけでなく、職員間の連携を阻害し、チームとしての一体感を損なう原因にもなります。
国も2026年4月からの運用を目指して介護情報基盤の整備を進めており、データ連携の重要性はますます高まっています。
参考:介護情報基盤について|厚生労働省
介護DXは、前述した課題を解決し、事業所に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。その効果は単なる業務効率化にとどまらず、事業の競争力を根本から強化します。
介護DXの導入は、事務作業のような定型業務を自動化・効率化します。例えば、音声入力システムで記録時間を短縮したり、見守りセンサーで夜間巡回の負担を軽減したりすることが可能です。
これにより、職員は煩雑な間接業務から解放され、本来注力すべきケア業務に多くの時間を割けるようになります。結果として、残業時間の削減や心理的負担の軽減につながり、職員が心身ともに健康で働き続けられる魅力的な労働環境の構築が実現します。
従来の介護が職員個々の経験や勘に頼る部分が大きかったのに対し、介護DXは客観的なデータに基づいたケアを可能にします。利用者のバイタルデータや行動パターンを継続的に収集・分析することで、状態の変化を早期に察知し、一人ひとりに最適化されたケアプランを立案できるようになります。
データに基づいた課題分析が可能になることで、ケアの属人化を防ぎ、事業所全体として標準化された高品質なサービスを提供できる体制が整います。
これは、政府が推進する介護テクノロジーの重点分野においても、情報の収集・分析が重視されていることからも明らかです。
労働環境の改善は、職員の満足度向上に直結し、離職率の低下に大きく貢献します。デジタルツールを積極的に活用し、業務負担の軽減に取り組む事業所の姿勢は、既存職員のエンゲージメントを高めるだけでなく、新たな人材を惹きつける強力なアピールポイントとなります。
介護業界全体で人材獲得競争が激化する中、「働きやすさ」を具体的に提示できることは、採用活動において他事業所との大きな差別化要因となり、安定した人材確保を可能にします。
実際に、介護DXの積極的な推進が新卒採用の成功につながった事例も報告されています。
介護保険制度は定期的に改正が行われ、事業所にはその都度、新たな対応が求められます。特に、科学的介護情報システム(LIFE)へのデータ提出など、ICTの活用が前提となる要件も増えています。
介護DXを推進し、日々の業務データをデジタルで一元管理する体制を構築しておくことで、こうした制度改正にも迅速かつ柔軟に対応できます。
また、ICT導入が算定要件となっている加算を確実に取得することは、事業所の収益改善に直接つながり、経営基盤の安定化に貢献します。
介護DXの重要性を理解していても、「何から手をつければよいかわからない」「大規模な投資は難しい」といった理由で、導入に踏み切れない事業所は少なくありません。
成功の鍵は、全社的な変革を一度に目指すのではなく、現場が最も課題を感じている特定の業務領域に絞って、スモールスタートを切ることにあります。その最適な第一歩となり得るのが「送迎業務」のDXです。
デイサービスなど通所系の介護サービスにおいて、送迎業務は利用者が一日の最初と最後に接する重要なサービスです。その印象は、事業所全体の評価に直結します。
しかし、その裏側では、利用者の送迎希望時間、車いすの有無、利用者同士の相性、車両の定員など、無数の制約条件をパズルのように組み合わせる複雑な計画作成が日々行われています。この業務に多大な時間と労力が費やされているにもかかわらず、間接業務と見なされ、その重要性や非効率性が見過ごされがちです。
このボトルネックを解消することは、一日の業務全体の流れを円滑にする、極めて費用対効果の高い取り組みと言えます。
手作業による送迎計画作成には、目に見えにくい複数のコストとリスクが潜んでいます。
多くの事業所で、担当者が毎日1時間近くを計画作成に費やしている施設もあります。この時間は、本来であれば利用者やその家族とのコミュニケーションなど、より付加価値の高い業務に充てられるはずの時間です。
計画作成が特定のベテラン職員に依存している場合、その担当者の急な欠勤や退職は、送迎業務そのものを停滞させかねません。
代わりの職員では急な利用キャンセルやルート変更に即座に対応できず、新規利用者の受け入れもスムーズに進まないなど、日々のオペレーションに深刻な影響を及ぼす事業継続リスクとなります。
計画作成に追われる職員は、新たな利用者の受け入れや、より効率的なルートの検討といった改善活動にまで手が回りません。現状維持に手一杯になることで、事業拡大の機会を逃している可能性があります。
経験則に基づいたルート設定は、担当者個人の経験に依存するため、組織的な安全管理の観点からは十分とは言えません。急ブレーキや急ハンドルが多い危険箇所の情報を全ドライバーで共有し、組織として安全運転を推進する体制がなければ、事故のリスクを低減することは困難です。
これらの「見えないコスト」を可視化し、解決することから始めるアプローチが、介護DXを現実的かつ着実に推進する上で極めて有効な戦略となります。
送迎業務に特有の複雑な課題を解決するために開発されたのが、パナソニック カーエレクトロニクスの送迎計画自動作成システム『DRIVEBOSS(ドライブボス)』です。このサービスは、送迎業務にまつわる課題を多角的に解決し、介護DXの第一歩を力強くサポートします。
『DRIVEBOSS(ドライブボス)』は、利用者の情報、車両情報、地図情報を基に、AIが最適な送迎ルートと乗降順を自動で作成します。これにより、これまで担当者が数時間かけていた計画作成時間を、わずか数分に短縮することが可能です。
経験の浅い職員でも計画作成できるため、送迎計画作成業務が特定の職員に依存する「属人化」の状態から完全に脱却できます。
実際に、導入後に計画作成を担当できる職員が1名から5名に増えたという事例もあり、経験が浅くても高品質な計画を作成できる体制の構築を実現します。
また、AIが算出した計画をベースに、現場の知見を加えて微調整することも可能で、自動化と人間の判断を柔軟に両立させています。
作成した送迎計画は、スマートフォンを通じてドライバーに直接配信されます。ドライバーはナビゲーションに従って運転するだけでよく、土地勘のない新人職員でも安心して業務にあたれます。
管理者は、事務所のPCから各車両の現在位置や作業状況をリアルタイムで把握できるため、予期せぬトラブルにも迅速に対応可能です。
さらに、急加速や急減速といった危険運転挙動を自動で検知し、地図上に記録する「ヒヤリハットマップ」機能を搭載しています。
このデータを基に、危険箇所を全職員で共有し、具体的な安全運転指導を行うことで、事業所全体の安全意識を向上させ、事故を未然に防ぐ取り組みを支援します。
前述の通り、介護DXは職員を間接業務から解放し、労働環境を改善します。『DRIVEBOSS(ドライブボス)』は、まさにこの効果を送迎業務において具体化するツールです。
計画作成や日報のペーパーレス化で生まれた時間は、単なる「時短」以上の価値を持ちます。それは、職員が利用者一人ひとりと真摯に向き合うための時間です。
煩雑な事務作業から解放された職員は、利用者の小さな変化に気づき、ご家族との対話を深めるなど、本来の専門性を存分に発揮できるようになります。
この好循環こそが、職員のやりがいと利用者満足度を同時に高める介護DXの本質と言えるでしょう。
『DRIVEBOSS(ドライブボス)』は、全国の多くの介護事業所で導入され、送迎業務の課題解決と業務全体の質向上に貢献しています。ここでは、具体的な3つの成功事例を紹介します。
・導入前の課題
複数の拠点を運営する同施設では、拠点ごとに送迎計画の作成方法が異なり、職員が異動するたびに新たな手順を覚える必要がありました。また、複雑な表計算ソフトを使用していたため、作成できるのはわずか2名の職員に限られ、業務が完全に属人化していました。
・導入後の効果
『DRIVEBOSS(ドライブボス)』導入後は、操作がシンプルなため、新たにパソコンが苦手な職員も加わり、計3名が計画を作成できるようになりました。
作成時間も体感で15分から30分ほど短縮され、職員の負担が大幅に軽減。「もう以前のやり方には戻れない」という声が上がるほど、業務の標準化と効率化を実感されています。
詳しくは以下のページをご覧ください。
春日丘荘デイサービスセンター 様 │ 送迎業務の効率化で属人化を解消!送迎システムのドライブボス
・導入前の課題
同施設では、送迎計画の作成が1名の担当者に集中し、その担当者が不在の際には計画の変更すらままならないという大きなリスクを抱えていました。
・導入後の効果
『DRIVEBOSS』を導入したことで、計画作成が可能な職員は一気に5名に増加。業務の属人化という長年の課題が解消されました。さらに、スマートフォンの連携機能を活用し、運転データを分析。複数の職員が同じ場所で急加速・急減速の運転挙動を起こしていることを発見し、そのデータを基にした安全運転講習会を実施しました。
結果、1ヶ月で急加速・急減速の回数が大幅に減少し、組織全体の安全運転意識の向上という副次的な効果も生まれています。
詳しくは以下のページをご覧ください。
介護老人保健施設太郎 様 │ 属人化解消と安全運転への意識向上!送迎システムのドライブボス
・導入前の課題
同施設では、かつてホワイトボードに利用者のマグネットを貼り替えながら、毎日1時間をかけて送迎計画を作成していました。この時間を削減し、利用者と接する時間を増やしたいという思いがありました。
・導入後の効果
導入後、計画作成時間は従来の半分以下、早い時には15分程度で完了するようになりました。これにより生まれた時間を、利用者に声をかけたり、これまで手が回らなかった業務に充てたりすることが可能になりました。
ICT化によって時間を創出し、それを本来のケアに振り向けるという、介護DXが目指す理想的な姿を実現されています。
詳しくは以下のページをご覧ください。
社会福祉法人偕生会 那覇偕生園 様 │ ICT化によって利用者に寄り添う時間が増加!送迎システムのドライブボス
介護DXは、もはや避けては通れない経営課題であり、同時に事業所の未来を切り拓くための強力な戦略的投資です。しかし、その推進にはトップの強い意志と、現場の負担を増やさない現実的なアプローチが不可欠です。
最初から事業所全体のDX化を目指す必要はありません。まずは送迎業務のように、課題が明確で、かつ解決策が具体的な領域から着手することが成功への近道です。一つの成功体験は、職員のデジタル技術に対する心理的なハードルを下げ、次の変革への意欲を引き出します。
デジタル技術の導入は目的ではなく、あくまで手段です。その先にある、利用者と職員の笑顔あふれる環境を創り出すことこそが、介護DXの真のゴールです。
この機会にぜひ『DRIVEBOSS(ドライブボス)』の詳細をご確認いただき、デイサービスの送迎業務への導入をご検討いただくことをお勧めします。
気になることがございましたら、お気軽にお問い合わせください。専門スタッフがご対応いたします。
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